テラーノベル
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“…晴れの日には、貴方が決まって現れる”
晴れの日は、あまり好きではない。
理由なんて大したものではない。
眩しいし、暑いし、騒がしいから。
窓の外では運動部の声が響いている。
教室に差し込む日差しに、少しだけ眉を顰めた。
こんな日は、さっさと帰るより。
静かな教室で過ごす方が好きだった。
ページを捲る。
……その時。
ガラ、と教室の扉が開いた。
独「まだ帰らないのか」
聞き慣れた声に、視線を扉へ向ける。
教室の入り口には、見慣れた姿が立っていた。
日「……ドイツさん」
独「また本か」
机の上の本を見て、彼が小さく息を吐く。
日「えぇ」
短く返し、ページを捲る。
数秒の沈黙。
独「……一緒帰ろうぜ」
日「嫌です」
本から視線も上げないまま答える。
日「暑いじゃないですか」
そう言って、少し口を尖らせた。
独「………」
日「…何してるんですか」
ページを捲る指先が、ぴたりと止まった。
独「待つ」
そう言って、隣の机に腰を下ろした。
日「……え?」
日「帰るまで待つって…何時間かかると思ってるんですか」
独「別に」
そう返し、窓の外に視線を向ける。
日「いや帰ってください」
独「……」
日「…そうですか」
再び本へ視線を落とす。
──落ち着かない。
ページが、全く頭に入ってこない。
日「……本当に待ってるんですか」
隣へ視線を向ける。
窓の外を眺めたまま、彼は短く答えた。
独「待ってる」
日「……」
日「…はぁ」
小さく溜息を吐く。
数秒。
ページを捲る音だけが響く。
……おかしい。
静かすぎる。隣の気配がまったくしない。
日「……ドイツさん?何見てるんですか」
独「……」
ゆっくりと、視線がこちらに向いた。
そしてすぐに逸れる。
独「別に」
そう言って、窓の外へ目を戻す。
日「……もう、そろそろ帰りましょう」
空が赤く染まってきた頃、そう呟く。
独「……嗚呼」
鞄を肩にかける音が、やけに大きく響いた。
独「……」
小さく立ち上がる気配がする。
日「行くんですか」
独「行く」
それだけで、教室の空気が切り替わった。
扉の外へ出ると、空気が少し変わった。
靴音だけが廊下に落ちる。
校門を抜けると、少し空気が重くなった。
アスファルトの熱が、じわりと足元に滲む。
靴音が、少し遅れて落ちる。
少し、空を見上げた。
そこには赤く染まった空、響き渡る蝉の声。
日「…たまには晴れも、悪くないですね」
#カンヒュイラスト
コメント
1件
嫌ぁぁぁぼつった!!!