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毎日毎日、場地を殺したあの瞬間が夢に出てくるんだ。

生ヌりぃ血が、皆の絶望の顔が、殴られた感覚が。全部流れ込んでくる。

ピピピピ…ピピピピ…ピピピピ…((アラーム音

「っはぁッ…!」

冷や汗が頬を伝い、呼吸が大きく乱れる。

血のハロウィンと呼ばれた抗争の日、少年院に逆戻りしたオレは重い懲罰を受けるはずで、異論はなかった。

けど、オレの精神状態は思っていたよりもずっど悪く、夜中に何度も起きてはうなされを繰り返していた。幻覚や幻聴が日に日に激しくなっていった。

今は精神病院で検査を受けて、ムショの骨組みベットと変わらない冷たいシーツの上に身体を滑らせている。

「何で生きてるんだろ、」

何度も思う。

マイキー。あの時オレをいっその事殴り殺してくれたら良かったのに。

ボソボソと呟いていると、面会に来ている奴がいるということで面会室に行った。

また性懲りも無しにきやがった。

松野千冬

自分の恩師を殺されて、よくオレの前に入れるな。

「前よりか痩せたな」

千冬は、場地のことには一切触れない。

千冬はオレが話すのを与えない位の量を喋る。穏やかそうに。

でもその中にある怒りは消せてねぇ。

オレは、長らく話していないせいで喉が張り付いて咳き込むことしか出来ない。

何度も何度も面会にくる千冬。今日で6回目、かな。

「オレが、憎いだろ?」

最初に千冬に向けて言った言葉が、それ。

だが、驚いた顔もせずに淡々と千冬は話す。

「場地さんが、お前を許すと言った。」

目を少し伏せて微笑みを浮かべて

「だからオレもそれに従うだけだ」

と。

眩しい。面会時間いっぱいまで喋る千冬が、その日は時間を余して部屋を出た。

去り際。独り言のように呟いた、千冬の

「死ぬな、テメェを一発殴らなきゃすまねぇ」

という言葉。アイツらしくてオレは少し、救われたような気がした。

ムショから出て。大人になった今。

そう、今でもあの悪夢は出てくる。

オレを陥れようと、引き釣りこもうとしてる。

オレも思う。オレが千冬のそばにいられる理由なんてないんじゃないかって。

場地が許さなかったらお前は復讐しに来たのか?本音が聞きたい。

でもそうしないのは、この曖昧でほつれそうで繋がってる関係にまだ酔っていたいと思うから。


END

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