テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
それでは、
どうぞっ。
ーーーーー
残り30日。
🤍「……30日?」
目を覚ました來亜は、しばらく天井を見つめていた。
夢を見ていた。
内容はほとんど覚えていない。
ただ、暗闇の中に浮かんでいた数字だけが、妙に鮮明に残っている。
ーー残り30日。
何の数字なのかは分からない。
時計を確認すれば、いつも通りの時間だった。
🤍「変な夢……」
そう呟いて、來亜はいつものように一日を始めた。
大学へ行き、友人と話し、帰りに買い物をする。
何も変わらない。
少なくとも、そのときまではそう思っていた。
突然、胸の奥が締め付けられるように痛んだ。
🤍「……っ」
足を止める。
呼吸がうまくできない。
けれど、数秒後には何事もなかったかのように痛みが消えた。
その日の夜、來亜は念のため病院へ行った。
検査をしても異常はない。
医師からは『疲れやストレスかもしれない』と言われただけだった。
帰り道。
來亜は自分の胸元を押さえながら、小さく息を吐いた。
🤍「なんだったんだろう……。」
その頃。
柚葉は、一人で見知らぬ路地を歩いていた。
普段なら絶対に通らないような、薄暗い路地。
その一番奥に、小さな店がある。
古びた扉。
看板には、店の名前すら書かれていない。
柚葉が扉を開ける。
カラン、と小さな音が鳴った。
「いらっしゃい。」
店の奥にいたのは、不思議な雰囲気をまとった店員だった。
店内には、普通では考えられないものが並んでいる。
小瓶に入った「記憶」。
箱に収められた「夢」。
時計のような形をした「時間」。
そして、誰のものか分からない「未来」。
柚葉はその光景に驚くこともなく、店員の前まで歩いていく。
🩵「お願いがあります。」
「何を?」
🩵「人の未来を変えたいんです。」
店員は柚葉をじっと見つめた。
「誰の?」
少しだけ間が空く。
🩵「……來亜さんのです。」
その名前を口にした瞬間、柚葉の表情がわずかに曇った。
「來亜さんに、何が起きるのか知っているんですね。」
🩵「はい。」
🩵「30日後、」
店員の言葉に、柚葉は静かに頷く。
🩵「助けたいです。」
「未来を変えるには、代価が必要です。」
🩵「何を渡せばいいですか?」
「あなたの未来。」
柚葉は黙った。
店員は続ける。
「あなたの未来を少しずつ差し出せば、彼の未来を延ばすことができます。」
🩵「……どれくらい?」
「まずは30日。」
柚葉は迷わなかった。
🩵「お願いします。」
「後悔するかもしれませんよ。」
🩵「しません。」
店員が手を差し出す。
柚葉がその手に触れた瞬間、店内の空気が変わった。
どこかで時計の針が動く音がする。
カチ、カチ、カチ。
そしてー
遠く離れた場所で、來亜の腕時計が突然止まった。
数秒後、
再び動き始める。
表示された数字は、
「残り60日」
一方。
店を出た柚葉は、数歩歩いたところで足を止めた。
🩵「……っ」
突然、激しい頭痛が襲ってくる。
頭を抱える。
視界が揺れる。
息が苦しい。
それでも、柚葉は壁に手をついて耐えた。
🩵「大丈夫……」
誰に言うでもなく呟く。
🩵「これくらい……」
しばらくして痛みが引く。
柚葉はゆっくり顔を上げる。
そして何事もなかったように、家へ帰っていった。
翌朝。
來亜は目を覚ます。
昨日まで感じていた胸の痛みがない。
体が驚くほど軽い。
🤍「……治った?」
不思議に思いながら、スマートフォンを見る。
いつも通りの日常。
何も変わっていない。
ただ一つ。
昨日まで夢の中にあった「残り30日」という数字だけが、なぜか頭から消えなかった。
そしてその頃。
柚葉は鏡の前で、自分の顔を見つめていた。
少し青白い。
けれど、笑ってみる。
🩵「……大丈夫。」
その言葉を、自分自身に言い聞かせるように。
まだ、始まったばかりだった。
next.
ゆあ。🕊️
3
#創作
むノー
1,335
腐ったうさぎ
3,739
コメント
1件
**美月ゆめか🌸** うわあああ第1話からもう切なすぎる…!!😭💔 「残り30日」っていう数字の不気味さと、柚葉ちゃんが自分の未来を差し出してまで來亜くんを助けようとする覚悟、胸がギュッてなったよ…。店の雰囲気とか「記憶」「夢」「時間」が瓶に入ってる世界観、すごく好みだし続きが気になりすぎる!!2人の関係性もまだ謎だし、これからどうなるのかドキドキしながら待ってるね…⋆♡