『ガサッ』
物音がして思考から戻ってくる。
ニキが寝返りをうったようだ。
(寝とったら進展なんてあるわけないわな…)
なんて思いつつ、つい思考がソウイウ話に寄ってしまう。
あんなことを考えていたからだろうか。
形の良い彼の唇から目が離せない。
(…今ならできるんちゃうか…)
初めてのキスを意識がない時にするのは卑怯だろうか。とか
なんだか寝込みを襲うみたいやな。とか
やっぱりニキのことは大事にしたいし、ちゃんと話してから…
そんな思考は次の瞬間、吹き飛ぶことになる。
「ん…ぼびぃ……」
(は??今俺の名前呼んだ?寝言で????)
「可愛すぎるんやけど….」
こうなるともう止まれない。
先程までのしょうもない心配なんてどこかへ消えた。
薄く開いた唇に吸い込まれるように引き寄せられる。
愛しい彼に一方的に口付けた。
「っん…..」
口に伝わるふにっとした感触。
漏れ出た甘い声。
(え、まって、柔らかすぎん??今までの女と全然違うんですけど)
なんて思いながら、その唇を堪能する
「んっ….ん、ぅっ…..ふぅ…」
(なんや、寝とってもえろい声出すなあ….)
「!?!?!?」
ふと我に返り、ニキに覆いかぶさっていたからだを一気に起こす
(まずいまずいまずい、衝動的にキスしてしまった….!というか長すぎた!あかん、、起こしたか???)
初めてで同意も取らずに寝込みを襲ったなんてバレたら、恋人関係解消どころか、”相棒”まで終わりかもしない。
(それだけは…今までの全てが無駄になる…)
恐る恐るニキの方を見る。
「……」
多少息は乱れていたものの、その瞳はまだ閉じられていた
(あぶな…)
ちゃんと段階を踏もうと思っていたのに。
告白の時といい、ニキのことになるとどうも制御が効かない。大事にしたい気持ちと、早く俺しか知らないニキの姿を暴きたいという気持ちが常にせめぎ合っている。
こんなに恋愛と真面目に向き合ったのは初めてかもしれない。
(それはそれで今までの彼女たちに申し訳ないが)
一旦冷静になろう。
タバコでも吸いに行くか。
いやその前にビールしまわないとやな。
まだ開けてないし、ニキが起きたら飲もう。
現実逃避するかのように、ベッドから腰を上げ、ビールを取ろうとした手がそれを掴むことは無かった。
コメント
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せんせーの衝動に任せないでちゃんと段階ふもうとすんの紳士だなぁ、