Mrs. GREEN APPLE/死表現/もとぱ/涼ちゃん出てきません
死にたい。
大森「もうダメだな(伸)」
軽く伸びをし、デスクの上にあるパソコンを拳で叩いた。
少し前から限界は感じてた。というよりも、その時点で既に限界は超えていたんだと思う。レコーディングの時に声が出なかったり思うように曲が作れなかったり、ライブの時にミスをしてしまうことだってあった。自分が届けたい音楽が何なのかというのが分からなくなってしまってこれ以上生きたいと思えなくなってしまったのだ
大森「な〜んか。呑まれるなぁ….」
誤魔化そうとも頬を伝う涙は正直で、初めの1粒に続いて溢れ出るように僕の顔を冷やした。
深夜3時。薬を飲んでも布団で目を瞑っても今日はどうしても眠れず、いよいよベランダに出てしまった
大森「さっむ…」
外は凍えるほど寒くて僕の心とどっちが冷たいかななんて歌詞みたいなことを思ってみる。
大森「限界まで頑張ったんだから….いいよね。さよなら、涼ちゃん若井」
柵に足を掛けた時、ポケットから振動が伝わってきて渋々画面を見ると若井からの着信だった
大森「最期に声…聞きたいかも」
ーピッー(通話中)
若井「あ、もしもし〜。やっぱり起きてた?」
大森「うん。作業してた。若井こそ起きてたんだね」
若井「まぁね〜。ってかさ、今暇?俺ちょうど元貴の家の近くにいるから寄っていい?コンビニでジュースとか買ってるんだけど」
大森「こないだもそう言って来てなかった?しかも既に買ってるなら来る気満々じゃん、笑」
若井「そりゃそうよ笑。ってことで今から行くから鍵開けといて〜」
ーツーツーー(通話終)
大森「ほんと、自分勝手。笑」
もう死ぬ気分にもなれなかったから玄関の鍵を開け大人しく待つことにした。それでも胸のむしゃくしゃは消えなくて、とりあえずソファーにあったクッションを家中に投げ飛ばした
ーガチャー(扉開)
若井「よ。これジュースとアイス。あとお酒もちょっと買ってきた」
大森「入るなら一応インターホンくらい鳴らせよ。ありがと。ここで酔うなよ?」
若井「酔わないわ笑。ちゃんと気をつけますー」
大森「ほんとさ、急に来るのはなんなの?いつもこんな時間は起きてないくせに(缶開)」
若井side
俺と元貴は中学が一緒だった。とはいえバンドを始めるまでは対角の位置にいるような関係だったけど笑。元貴は中学の頃から背負い込みすぎて1人で抱えるタイプの人間だった。それは事務所に入った今でも同じ。なんなら忙しくなった今の方が酷い気がする
数時間前
若井「ん〜、そろそろ寝るかな…..ん?元貴がこんな時間にX更新してる」
“今日はなんだか自分をコントロールできない”
限界なんだ。俺はすぐに気付いた。元貴が深夜に投稿する内容は暗いものばっか。そしてそれを投稿する時は自分でもどうしたらいいか分からないほど辛い時だけ。俺はすぐに車のキーを取った
若井「しょうがない。行ってやるか笑」
最近こういうことが増えたから元貴の好きな飲み物もアイスも全て把握済み。コンビニに寄っていつもの電話をして元貴の家に向かう
ーガチャー(扉開)
やっぱり。デスクの上のパソコンは少し凹んでいて部屋中にはクッションが散りばめられていた。今日も俺の勘は正解だったって事で
若井「よ。これジュースとアイス。あとお酒もちょっと買ってきた」
こういう時は寝かせるのが1番。それを学んだからお酒も買い込んだ。
大森「ほんとさ、急に来るのはなんなの?いつもこんな時間は起きてないくせに(缶開)」
いいんだよ、元貴は分からなくて。迷いなくお酒に手を伸ばす元貴。家に行くと疲れきってるのが分かりやすくてむしろ安心する
若井「たまたまジョギングでそこ通ったから笑。ほら、カンパーイ」
数時間後
大森「…………ん(眠)」
若井「っしょ…..(抱運)」
ソファーでそのまま寝てしまった元貴を抱えてベッドまで運ぶ。眠るまで元貴は泣いたり怒ったり笑ったり忙しなく感情が行き来してた。いくらお酒でも少量だったし相当溜め込んでたんだろうな
若井「一人じゃないって、そろそろ気付いてほしいんだけどな…」
俺も涼ちゃんもただデモを渡されて弾いてみんなに届けて。それだけの為に居るわけじゃない。元貴の作る音楽が好きだからこそコントロール出来ない元貴自身を俺達が支えていく覚悟でいるのに
若井「もう中学の時と違うでしょ?元貴の才能が認められたんだよ?そんな1人で遠くに行かないでよ」
親友としてのハグをバレないように交わし、家を出た。俺が気遣いとしてやっているこの行動は、元貴にとってお節介なのかもしれない。でもそれでいい。元貴が自分を見失った時はいつでも俺と涼ちゃんが支えに向かう。
大切な家族だから
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