Mrs. GREEN APPLE/死表現/もりょき
死にたい。そう思うのはおかしな事なのかな
もうデビューして10年が経とうとしている。有難い事に沢山のファンが居てやっと俺も愛されてるなって思えたのに
藤澤「俺ってほんとにダメだなぁ……」
昔から定期的にある、何をしても呑まれる夜。この時間は自分の事が世界一嫌いになるし自分の不甲斐なさで死にたくなる
もちろん眠れるはずもなく独りで家の周りを歩いていた
藤澤「俺は愛されてるって勘違いをしてるだけで本当は皆から嫌われちゃってるのかな…」
???「あれ、涼ちゃん〜!」
ふと俺を呼ぶ声が聞こえて振り向くと、部屋着姿でこちらに手を振ってくる元貴がいた
藤澤「元貴….どうしたの?部屋着じゃん」
大森「うん。涼ちゃん家に遊び行こ〜って」
藤澤「いくら何でも弾丸すぎるでしょ笑。深夜だよ?」
大森「でも涼ちゃんなら入れてくれるっしょ?俺寒いなぁ〜」
藤澤「もぅ….わかったよ。一緒に帰ろ?」
何故か俺の家に入りたがる元貴と一緒に帰宅する事にした。元貴は俺に笑いかけてくれるのに俺の頭の中では”自分にそんな権利なんか無い”という思考がグルグル回って上手く返せない。ほんと、俺は俺が大っ嫌いだ
〜大森side〜
数時間前
スタッフ「これでレコーディング終了です。お疲れ様でした〜!」
ミセス「お疲れ様でした!」
若井「やっと終わった〜笑。ね、この後3人でご飯行かない?久しぶりに」
大森「俺は暇だし良いけど….涼ちゃんは?」
藤澤「……ん?ごめん聞いてなかった笑」
若井「なんだよ笑。この後ご飯行かない?って」
藤澤「あ〜、、行きたいけど用事あるんだよね」
嘘だな。すぐに分かった。涼ちゃんはレコーディングになると落ち込みやすくなって何もする気力が無くなってしまう。
今日は特にミスが多く時間がかかってしまっていたから余計だろう
ー大森宅ー
大森「……..(作業中)」
パソコンをいじってても頭の片隅から涼ちゃんが消えなくて気付いた頃には家を出ていた
大森「ま、仕方ない。慰めてあげるか笑」
ー外ー
大森「あ〜、さっむい…..」
真冬に部屋着のみで外に出たから身体が凍えそうだ
しばらく歩いているとどこからか小さな独り言が聞こえた
??「俺は愛されてるって勘違いをしてるだけで本当は皆から嫌われちゃってるのかな…」
大森「涼ちゃん…..」
俺の少し先にゆっくり歩いてる涼ちゃんが居た。聞きたくない言葉を言っているのは、涼ちゃんだった
大森「そこまで抱え込んじゃうなら言えよ…笑」
大森「あれ、涼ちゃん〜!」
今気付きました感を出して手を振ると、驚きながらも小走りでこちらに近付いてくる
藤澤「元貴….どうしたの?部屋着じゃん」
大森「うん。涼ちゃん家に遊び行こ〜って」
藤澤「いくら何でも弾丸すぎるでしょ笑。深夜だよ?」
大森「でも涼ちゃんなら入れてくれるっしょ?俺寒いなぁ〜」
藤澤「もぅ….わかったよ。一緒に帰ろ?」
どんな時間帯でも涼ちゃんが起きてればなんやかんや家に入れてくれる。
必死に擦って誤魔化してるけど何よりも赤く染まった目は泣いた事への証拠になっている
ー藤澤宅ー
大森「おじゃましまーす」
藤澤「ほんと珍しいね?こんな時間に何しに来たの笑」
大森「別にー。ちょっと飲もうかなって」
家から適当に持ってきたお酒とおつまみを並べる
藤澤「え〜ありがとう!お皿持ってくるね」
2人ともソファーに座って乾杯をした。しばらく沈黙が続いて回りくどいのも嫌いだから俺から話しかける
大森「今日のレコーディングどうだった?」
そう聞くだけで涼ちゃんは少し目を潤ませて俯いた。
藤澤「あ〜、全然ダメダメだったね。何回もミスしちゃってごめんね」
大森「別にそのくらいいいでしょ笑。楽しめたならそれでいいじゃん」
藤澤「今回だけじゃないよ。昨日のJam Landの撮影でもトーク上手くなかったし、前回のロケも色々トラブル起こしちゃったし、もうさ」
1つ話せば紐が解けるようにするすると反省が出てくる。それが目的だからいいけど
藤澤「俺って要らないんじゃないかなって…笑」
俺は相槌を辞めた。笑えない。
大森「何言ってんの」
藤澤「コメント見てるとなんか考えちゃうんだよね…お昼までは平気だったんだけど」
込み上げてくる涙をお酒で飲み込む涼ちゃん。アンチか何か知らないけど、誰かの声で折れるほど涼ちゃんは弱くない。今回のミスは相当なパンチだったらしい
近くにあったティッシュを涼ちゃんに渡す
大森「要らないとか俺達言ったことあった?ミスなんか今回に限ったことじゃないし、俺も若井ももちろんしちゃうし、それは恥ずかしい事じゃない。涼ちゃんは必要だよ。俺達だけを信じてよ」
目を合わせたら俺まで泣いてしまいそうであえて逸らした。悔しい。要らないなんて思考にさせてしまったのが
藤澤「ごめん……(泣)ちょっと疲れちゃったみたい。今のは忘れて(泣)」
いよいよ両手で顔を隠しだした涼ちゃんの肩をそっと抱き寄せた。
小刻みに震えている弱々しい背中を優しくさすってみる
大森「好きだよ。涼ちゃん。俺も若井も涼ちゃんのこと大好きだよ。嫌うことなんか無いから二度とそう思わないで」
震えも治まって眠ってしまった涼ちゃんをソファーに寝かせブランケットをかける
外に出ると行きよりも少し暖かく感じた。
この世にピアノが弾ける奴は数え切れないほどいる。
でも優しく温かく素直で繊細な”涼ちゃん”は1人しかいない。
俺も若井もそんな涼ちゃんを選ぶ。それ以上もそれ以下でもない。
涼ちゃん自身が俺達の愛に気付くまで一生伝え続けようと誓った
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