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ー願い事が叶うならー
僕はハテナが帰った後、
窓から夜空の星を眺めていた。
サンクス「…そういえば、今日七夕、だったっけ…?」
日付を確認するために病室に置いてある日付付きの時計を見る。
確かに今日は7月7日、七夕だった。
サンクス「……そっか、七夕か…」
叶わないとは知っているけど、
もしも願いが叶うなら、
サンクス「死ぬ時はハテナと一緒に死んで、来世でも一緒にいられますように。」
そう願った。
なんだか今日の星は、
強く光っているように見えた気がした。
まるで、僕の願いを叶えてくれるかのように。
僕は久しぶりにニコっと笑った。
久しぶり、と言うよりは初めてに近い。
これほど感情を込めて笑えたのは。
サンクス「……そろそろ点滴の時間かな。…今ぐらいは受けてやる、か……」
僕は窓を閉め、
ベッドに戻り横になった。
数分後、看護師が点滴を持って僕の病室に入って来た。
看護師「サンクスさん。点滴のお時間です。」
サンクス「………」
僕は無言で腕を布団から出し、
顔は布団に潜らせた。
看護師「珍しいですね、自分から腕を出してくれるなんて。」
サンクス「うるさい。さっさと針刺して帰って。」
僕はいつも通りの口調でそう言った。
看護師は点滴の針を刺し終えると、
「失礼しました。」と言って僕の病室から出ていった。
僕はすぐ布団から顔を出し、
点滴の袋を眺めた。
……あ、れ…?
少し泡が立っている気がするような…?
それに気づいた時、あるテレビのニュースを思い出した。
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女性看護師「…3人近くの人の点滴袋に、消毒液を入れて殺しました。」
記者「何故そんな事を?」
女性看護師「……それ以上はお答えできません。」
サンクス「……世の中って騒がしいな…犠牲者が僕じゃなくて良かった。」
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消毒液が入っていた点滴袋は、
異常なほどに泡が立っていたらしい。
今起きている状況。
泡立つ点滴。
僕は急いで点滴の管を引っ張り腕から抜いた。
でもその時には、少量ではあるが消毒液が体内に入っていた。
僕はすぐに酷い吐き気と咳に襲われた。
サンクス「ゲホッゴホッ、!!?だ、れか…!!ゔ、ゲホッ!、」
僕はナースコールを押した。
それとほぼ同時に担当の医師が部屋に入って来た。
…声が聞こえない。
視界が、ぼやけて…
もう、遅かったかな……