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「2人部屋…」
電話を切った後、若井が発した言葉を復唱する。
付き合い始めて3ヶ月。
手を繋いだりハグをしたり、可愛らしいキスをするだけでオトナな接触はまだしていない。
興味が無い訳ではないが、そもそも性的な欲求が薄いらしく一人ですることはほとんど無い。
動画を見ても、そういう行為に没頭している自分を想像したくないとも思ってしまう。
それに僕は目に見える物より心の繋がりを感じられる方が好きなのである。
だからこそここ3ヶ月わざわざ自分から関係を進めようとしたりしなかった。
しかし、若井はそうでもないらしい。
もちろん、無理やり先に進もうとしないあたり心の繋がりも大事にしてくれてはいる。
それでも健全な中3男子らしさが時々垣間見える。
食事中、口端についたソースをぺろりと舐めとる僕を見て少し顔を赤くしたり
ベッドに横になっていて短パンの裾がずり上がり太ももが露出していた時はすごい勢いで目が泳いでいた。
おそらくだが、若井は先に進みたいと思ってくれていると思う。
ということは、 今回の2泊3日のお泊まりイベントは彼にとって先に進む絶好のチャンスだ。
「多分…準備とか…いるよなぁ」
となればこちらもそれ相応の覚悟と準備をして行かなければいけないということになる。
もちろん何も無い可能性もあるが、備えておいて損は無い。
PCを立ち上げ必要な物と手順を確認する。
「…多分こっち側が僕…」
組み敷かれている男の人を見ながらぼそりと呟く。
手順を説明してくれているサイトと動画を一通り見終わり、得た情報を整理する。
後ろを解すのは1日2日でどうにかなるようなものでは無いようで出来ることなら何日もかけてゆっくり解した方が良いらしい。
恐ろしいことに解し方が足りないと切れてしまい、それも結構痛いらしい。
痛いのは嫌いなので前もって自分で解すことにする。
そうと決まればすぐにでも道具を手に入れなければいけない。
薬局に行くために急いで服を着替えた。
とにかく誰にもバレたく無いのでかなり離れた駅まで行くことにする。
時刻は17時になるところだが、2時間もあれば行って戻って来れるだろう。
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18時45分
購入したものが入った袋を部屋の机に置き一息つく。
袋の中にはローションとコンドーム、そして浣腸薬。
パーカーのフードを深く被り俯いて会計を済ませたが、正直顔から火が出るほど恥ずかしかった。
この3セットを見た店員には何をするために買ったのかバレていることだろう。
死ぬほど恥ずかしい思いをしながら買ったのだあの経験を無駄にしないようにさっさと練習することにしよう。
浣腸薬の箱を開け説明書をよく読み、手順通りトイレで事を済ませるが、慣れない行為にそれだけでもう、ぐったりと疲れ切っていた。
部屋に戻りベッドに寝転ぶと、このまま寝てしまおうかと一瞬頭をよぎるが、せっかく嫌な思いをしたのに無駄にする気か!ともう1人の自分が頭の中で怒鳴りつけてくる気がした。
「…よし」
意を決してローションを手に取ると指に纏わせ孔の周りをマッサージするようにぐにぐにと刺激する。
5分ほどマッサージをして筋肉が解れてきたところで指を1本慎重に入れていく、ローションの滑りを借りて思っていたよりスムーズに入ってくれた。
「ぅ…きもちわるぅい…」
内壁をぐるりとなぞったり、拡げるように押してみる。
凄い異物感と違和感で気持ち良さは微塵も感じないが、最初はみんなそうらしいので気にしないことにする。
指1本ならなんなく抜き差しできるようになったところで指を2本に増やす。
より異物感が強くなり、思わず眉を顰める。
「…ふーーっ…ぅう…」
ほんとに気持ちよくなるの?これ?騙されてない?と頭の中で悪態をつきながら続ける。
2本の指がかなりスムーズに抜き差し出来るようになった頃には心にもかなり余裕が生まれていた。
なんとか気持ちよくなれそうなポイントが無いかと先ほど見たウェブサイトで紹介されていた前立腺とやらを探る。
「…おなか側のこりこりしたところ…」
しばらく探っているとそれらしきものを発見した。
「一定のリズムで…押し込む感じ…?」
しばらく刺激しているとゾワゾワとした感覚に襲われた。
ここが前立腺とやらで間違いないらしい。
しかし、それ以上の刺激に変わることは無く今日はここまでで切り上げることにした。
「でも指2本入れられただけ上出来…なのかな?」
手早く後始末を済ませると、疲れ切った体はあっという間に眠りに落ちていった。
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準備しはじめてから1週間が経過した。
さすが器用なもので、あっという間にコツをつかみ初日の半分ほどの時間で指2本入れられるまでに成長した。
しかし、未だに快感は感じた事が無い。
前立腺を刺激している時のゾワゾワとした感覚は日に日に強くなってはいるが、快感かと聞かれれば答えはNOである。
そんなこんなで訪れた本日、修学旅行初日。
京都と滋賀にかけた『今日しかない』というスローガンをかかげた一大イベント。
僕はこのスローガンに大いに賛同している。
1週間前には旅行中何も事が起こらなかったとしても何かあった時のために準備していた方がいいだろうと呑気なことを思っていたが
今となってはこちらから襲ってでも事を起こしてもらわなければ困るのである。
この旅行中、何もありませんでした。となれば1週間かけて準備してきた努力が全て水の泡になる。
この旅行期間こそ絶好の機会。
まさしく『今日しかない』のである。
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続
コメント
1件
続きありがとうございます!今回も最高でした(*^^*)次回も楽しみに待ってます😊