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創作BL・百合 てきな?
嫌いだった奴にある小説を渡された。状況に左右され、その本を読んで、そのまま持って帰ってしまった。翌日。貸して貰ってもいないのに持って帰っていたことに気づいた。怒られたら面倒な人間だし、会ったら謝ろうとおもってたが。ソイツは、教室に入ってこちらに来た瞬間
「どう?その本。」
「お、おもしろいよ。まだ最初の方だけど、視点がコロコロ変わると意外と考察しがいがあるね。」
「へぇ。」
予想外だった。叱責されるかと思った。実のところ、1回だけ叱責されたことがあった。だからこそ、いろいろ口実を考えていたのに、なんだか損をした気分だった。
3限目。隣の席にいた。ソイツが居なかった。少し気がかりだった。授業中も上の空でそんな自分がいやになった。嫌いな奴をきにするなんて、自分らしいな。皮肉じみた思考がまわっていた。
次の日は休みなのかまた隣の席に人は居なかった。この日は授業をちゃんと受けて、メモも取った。どうせ病み上がりで、ノートを写させるよう言われるからだ。休み時間は、ずっと、あの小説を読んでいた。気が紛れて、内容関係なく安心できた。語彙の少ないこの頭でも小説を読めば色々な言葉が使えるようになる。……気がする。実際に使うことがないけど、損はしないだろう。
そのまた次の日。今日も隣の席は空席のまま。小説も読み終わってしまった。それ以外にやることもないから、もう一度流し読みする。だが、頭の中はぐるぐると一つのことを考えていた。アイツは今まで、自分にどう接していたのか。嫌なやつだった。だが、同時に悪いやつでは無いとわかっていた。気遣いはできるし、切れやすくなければ自分でもいい奴だというだろう。
ボツになったので供養。