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第5話、読み終えました。朝のベッドシーンからして、もうドキドキが止まらなかったです…!「あと29日だ」って、ふざけた口調で言いながら抱きしめる力を強めるところ、シャインの本心がちらっと見えてるようで良かった。レイニルが「雨女が勝ちますから」と宣言するところ、吹っ切れた感じが気持ちよくて拍手したくなりました。双子のヘリオス登場も、嫌な予感しかしない…!次が気になります。
シャインと同じベッドで寝るのは当然ながら緊張したが、それ以上に疲れていたレイニルはすぐに眠ってしまった。
朝、目が覚めると同時にぼやけた視界に映り込んだのは、シャインの整った美しい顔と閉じた瞼だった。
「……っ!!」
レイニルは思わず声を上げそうになったが寸前で飲み込んだ。それに身動きが取れない。
レイニルの体はガッチリとシャインの体に包まれていた……まるで抱き枕のように。全身に伝わる呼吸と鼓動のリズムが穏やかで心地よい。
逆にレイニルの鼓動はどんどん速くなって、このままでは心臓に悪い。
……かと思うと、いつの間にかシャインの金色の瞳がレイニルを捉えていた。
「……あ、陛下、おはようございます……」
「あと29日だ」
「え?」
シャインはレイニルの薄い金色の長い髪を撫でながら抱きしめる力を強めてくる。抱擁なんて優しいものではない、これはホールドだ。
「あと29日で雨が降らなかったら離婚だ。どうだ、嫌だろう?」
「…………」
このふざけた笑いと口調はシャインの誘導だ。嫌だと言ってしまえば負け。これは愛したら負けの勝負なのだから。
嘘でも『愛している』と言ってしまえば妃のままでいられる。でも、嘘の愛で得られるのは嘘の幸せでしかない。
それはシャインにも言える。彼にとって契約結婚は娯楽であり、おそらく本気でレイニルを愛してはいない。
だからこそ、レイニルは思った。
(……夫婦を続けるならば、陛下も本気で私を愛してほしい)
娯楽のゲームだというならば、それに乗るまで。シャインがレイニルを落としにかかるなら、レイニルもシャインを落としにかかる。
「陛下……いえ、シャイン」
突然の呼び捨てにシャインの金色の瞳が丸く見開かれる。効果は抜群のようだ。
「覚悟してくださいね? 雨女が勝ちますから」
吹っ切れたレイニルは、堂々とした笑顔で宣戦布告を言い渡した。
シャインが公務中の間は、レイニルは自由時間となる。結婚しても30日間はお試し期間みたいなものなのか、仕事や勉強などを強制される事はなかった。
(30日で離婚する可能性があるなら当然か……)
そんな寂しさを胸にレイニルが中庭に出て昼の空を見上げると、今日も晴天。雨女の能力はどこに消えてしまったのだろうか。
あんなに忌み嫌われていた雨の能力なのに、今は雨が降らない事に焦りを感じ始めている。それはシャインの期待を背負っているからなのか。
自由時間は色々と考えてしまって逆に辛い。何かに没頭していた方が気が紛れる気がした。
ふと花壇を見ると、ジョウロを持って水やりをしている侍女と目が合った。
「レイニル様、こんにちは」
侍女が愛想のいい笑顔で会釈をしたので、レイニルも同じように会釈を返す。
「こんにちは。あの、お水って、どうしてるの?」
これはレイニルがこの国に来てから疑問に思っていた事だった。30日も雨が降らないような国だから間違いなく水不足だと思っていた。
それなのに食事や飲料や入浴、全てにおいて水は普通に使われていた。
「はい。お水は、お隣のアメリア国からの輸入がほとんどです」
「そうなの……? 知らなかった……」
レイニルは地下牢暮らしだったので国の事情は全く知らない。確かにアメリア国は雨が多い国だから、雨の降らない枯渇したサンディ国は良い商売相手だろう。
そういう意味でも交流が深い2国だから、姉のローサとヘリオス殿下の縁談があっても不思議ではない。
その時、レイニルの背後に誰かが立っている事に気付いた侍女は驚いた顔をしてジョウロを両手で握りしめた。
「ヘリオス様……!」
「え?」
レイニルが背後を向くと、そこにはシャイン……にそっくりな双子の弟・ヘリオスが笑顔で立っていた。
侍女は何かを察して深くお辞儀をすると、そのまま早足で立ち去った。
ヘリオスは少し屈むとレイニルに視線を近付けて意地悪そうに笑った。
「よぉ、また会ったな雨女」
「…………」
レイニルは無言で睨みつける。いや、見定めている。この人は本当にシャインではなくヘリオスなのだろうかと、疑うくらいに似ている。
シャインならこんなに意地悪な顔はしないし、何よりも口が悪い。そして、昨日のキスを忘れもしない。