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るる
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「ごめん。」
顔を上げて、とりあえず口から出たのは謝罪の言葉。
「なんであやまんの?嬉しいのに。」
勇斗は変わらずにこにことしている。
ここから逃げ出したい。
勇斗が俺で遊んでいることよりも、諦めたはずなのに心の奥底でまだ期待している自分がいたことがショックだった。
それからの話はあまり入ってこず、言いたかった話もできなかった。最初よりも少しぎこちなくなってしまったのはきっと勇斗にもばれているのだろう。
いつの間にやらテーブルにあった皿は片付けられて、代わりに置かれていた杏仁豆腐に気づいて手を伸ばす。
待ちわびていたはずなのに、口にしても味わうことはできなかった。
まだまだ太陽は高い位置にある。
店を出てとりあえず駅へ戻りながら、案の定、勇斗は
「まだ時間あるよね?」
とカフェ、カラオケ、ゲーセンなどを挙げていく。まだ一緒にいたいの!と肩を組まれて、大人気なく駄々を捏ねられる。
乗り気では無い俺を見て、場所に不満があると思ったのか、他の提案も貰ったけど課題の締切があることを言い訳にするとしぶしぶと身を引いてくれた。
そのまま、名残惜しそうにする勇斗と別れた。駅は帰宅ラッシュにも被らない時間帯で空いている。ゆるやかに走る電車に揺られながらぼんやりとしていた。
なんとなくスマホを開けば勇斗から、
楽しかった!次はどこ行く?
別れてまだ数分しか経っていないのに、律儀なメッセージと可愛いスタンプ。
勇斗がどういうつもりなのか分からない、俺を構っている演技なはずなのに随分と献身的だ。
気づいていないフリをして今まで通り返信すればいいのに、どうやって返していたかももう分からなくなっていた。
駅と家との間にあるスーパーに差し掛かった時、思い立ってお酒数本とアテにできそうな惣菜を買った。
今日は奢ってもらったし普段は摂生しているのだから、今日くらいは奮発してもバチは当たらないだろう。
勇斗に言ったことは嘘ではなく、課題の締切は近い。それなのに作業机に座る気は起きなかった。
もう明日からの自分が焦ればいいと言い聞かせて、慣れないプルタブに指をかけた。
溜まっていたお気に入りのバラエティ番組を観ながら1本、2本。普段なら飲まない強めのアルコールをどんどん体内に流す。せっかくの番組も気付けばぼんやりとしてしまい、巻き戻しを繰り返している。ぐらぐらと回る頭の中でも、まだ勇斗への返事を悩んでいた。
謝罪の言葉や、これ以上からかうなと批難する言葉だったり色々と思いついたけど、打っては消してを繰り返す。
今日はありがとう。
結局、それだけ返して脱力した。
普段の疲れにアルコールからくる火照りが合わさって、岩になったように身体全体が重い。このまま床で眠ってしまいたい気持ちを堪えて、四つん這いで近くにあるベッドへ移動した。我ながら限界すぎる。
ぼすっと頭を勢いよく枕に預けた。
本当は勇斗に今月いっぱいでバイトを辞めることを話すつもりだった。
そろそろ就活の準備やら卒業制作やらにも着手しないといけない。それに荒れに荒れている生活リズムを元に戻さないといけない。
店長に報告したときには深夜は人手がないんだと泣きつかれて困ったけど、代わりが見つかるまでと約束をして少しずつシフトを減らして続けていた。
なんやかんや言いつつ、優しい店長はちゃんと代わりを新人を入れてくれて、そろそろ…と話したのはちょうど勇斗に食事に誘われた時と同時期だった。
冷静に考えれば、ただの客に辞めますなんて言うのおかしいよな。
もともと客と店員、ほぼ他人みたいなものだし、それが本当に他人になるだけ。
そう思えば気が少し楽になった気がした。
もう一度スマホを開いて、メッセージアプリを見る。こちらからブロックしてやれば、丸く収まるのかもしれない。でも、バイトもあと数回。
必然的に切れる縁なら、もう少しだけこのまま遊ばれていよう。
コメント
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辛い…😭好意がネガティブ寄りなのが(同性なのもあるけど)💛さんぽくて好きです。続きも楽しみにしてます