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(いつまで続くの・・・こんなこと・・・・・・)
最初こそ、絶対に屈するものかと歯を食いしばっていた。
ホテルのみんなを、アラスターを巻き込まずに済んだのだからと、自分にそう言い聞かせて。
それが、心の防波堤になっていた。
(でも・・・・・・それでも、やっぱり・・・・・・)
心のどこかでは、手を伸ばしたかった。
“助けて”と・・・そう叫んでしまいたかった。
“助けてほしい” “巻き込みたくない”・・・相反する二つの気持ちは、どちらも紛れなく本心で。
そのせめぎ合いのせいで、自分自身でも解答を出せずにいた。
―――しかし、あの一瞬が決定打になった。
催眠に掛かったまま、瞳に映る街並みを他人事のように眺めていた時だった。
私の名前を呼ぶみんなの声。何も応えない私。
間違いなく私の目の前にみんながいるのに、どんなに喉がすり切れるほど叫んでも、私の口は動かない。
それどころか、ヴォックスに与えられた武器を振りかざし・・・あろうことかアラスターに斬りかかっている。
(だめ・・・やめて・・・!やめて!!)
(お願い・・・嫌、嫌よこんなの・・・!)
(この手で貴方を傷つけてしまうなんて、絶対に嫌・・・!!)
そう何度も声を上げるのに、私の身体は止まってくれない。
――そしてついには、私の刃の切っ先がアラスターの身体を抉り、傷つけた。
〇〇「嫌ぁッ・・・!!お願い、もうやめて・・・!!」
〇〇「助けて・・・助けて、アラスター・・・!!!」
心の底から叫び、幾筋もの涙が頬を流れ落ちる。
〇〇『・・・た、すけて・・・・・・』
アラスター『・・・・・・!!』
その時、私の叫びはたったの一言だけ、言葉となって口から零れ落ちた。
驚きに見開かれたアラスターの眼。
彼には、それが聞こえたのかもしれない。
しかしそれ以上う私の意思は自分の身体へは届かなくて。
傷ついた彼がみんなと一緒に撤退していくのを、黙って見つめることしかできなかった。