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あの日から時折、ヴォックスの催眠が解ける時がある。
何かきっかけがあるわけでもないが、その時だけは自分の意思通りに身体が動いた。
ヴォックス「お前がこうして俺のものになり、アラスターの傷つく所も見られるなんてなあ?」
ヴォックス「ああ・・・最高に気分が良い・・・」
ヴォックス「良くやったぞ〇〇。それでこそ俺の側近・・・そしてそれでこそ、俺の理想の女だ・・・」
〇〇「・・・・・・・・・」
鼻歌交じりで上機嫌なヴォックスに身体を抱き寄せられ、頬を撫でられる。
自分の意思を取り戻しても、既に彼に抵抗する気力も体力も残ってはいなかった。
今の私に残っているのは、アラスターを傷つけてしまった事への罪悪感と、己に対する無力感。
嬲り殺しにされるような苦痛の日々も相まって、もう何を考えるのも億劫になってしまっていた。
(アラスター・・・私のこと、怒ってるかな)
彼は私が知る中で、誰よりも自分自身を愛し、大切にできる人だ。
その彼自身を傷つけ、あまつさえ助けを求める馬鹿な私は、彼の目にどう映ったのだろう。
(今更助けてなんて・・・都合が良すぎるよね・・・・・・)
心の中で自嘲していると、頬を撫でていた指先に顎を上向かされた。
ヴォックス「せっかくの良い日だ・・・」
ヴォックス「たまには、とびきり優しくしてやるのも悪くないなあ?」
荒い息でそう囁きかけられ、唇の端を舐め上げられる。
(ああ、また、今日も・・・・・・―――)
この先起こる未来に、観念して身体の力を抜く。
耐えることしかできないのだ。私には・・・――――
ヴェルヴェット「――お楽しみ中悪いんだけどヴォックス」
ヴェルヴェット「・・・アンタにお客さんよ」
部屋の入り口からそう声がして、ヴォックスの動きがぴたりと止まった。