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ユキ
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それから私たちは、穏やかに話をした。
怒鳴ることもなかった。
泣き叫ぶこともなかった。
ただ、お互いの気持ちを最後まで聞いた。
そして。
正式に別れることを決めた。
私はもう、前みたいにはしたくなかった。
何か月も引きずって。
何度も期待して。
苦しくなる終わり方は、もう嫌だった。
だから、その日のうちに。
家に置いてあった着替えも。
歯ブラシも。
パンツも。
全部まとめてもらった。
玄関まで見送る。
「じゃあ。」
「うん。」
最後の会話は、それだけだった。
ドアが閉まる音がして。
部屋は急に広くなった。
静かだった。
不思議なくらい涙は出なかった。
悲しくないわけじゃない。
好きじゃなくなったわけでもない。
ただ。
これ以上一緒にいたら、お互いが壊れてしまう。
それだけは、もう分かっていた。
コメント
1件
ああ、もう、これ……読んでて胸がぎゅってなったわ。 怒鳴り合いも泣き叫びもなくて、お互いの気持ちをちゃんと聞いて「別れる」って決めたその冷静さが、逆に切なすぎる。 「これ以上一緒にいたらお互いが壊れてしまう」って、その判断ができるって本当に大事なことだと思う。 好きじゃなくなったわけじゃないのに、別れを選ぶって、どれだけ勇気がいるか。 最後の「じゃあ」「うん」だけの会話、ドアが閉まった後の静けさと広くなった部屋の描写が、もう言葉にならなかった。 イツカさん、この回、本当に刺さりました。ありがとう。