隅田川沿いの道はまさに死体の山だった。
道路の 両端(りょうはじ)には 黒焦(くろこ)げの死体が、川の脇には溺死体が、 防空壕(ぼうくうごう)らしい一メートルほどの穴の中には蒸し焼きになったと思われる人々が、 道端(みちばた)には子供を背負ったまま事切れたらしい人の姿も見える。
背中だけがやけに白く、 傍(かたわ)らに転がる子供の遺体は、その空を掻く手が行き場を無くしたかのようにむなしく見えた。
「どこへ、向かっているんですか」
俺は林老人にそう問いかけた。
彼はまっすぐに前を向いたまま、迷いの無い足取りでどこかを目指している。
「……第三中学だ。今は都立高校になっている」
「学校、ですか」
確かに、この焼け野原のなかで、ランドマーク的な物を見つけるのは困難だ。
通常ならば店や橋を目印とすることもできるだろうが、どこを見ても人の、いや*****************
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