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零番線特急

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零番線特急

33 - 33 勝手な願い

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2022年04月21日

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 隅田川沿いの道はまさに死体の山だった。

 道路の 両端(りょうはじ)には 黒焦(くろこ)げの死体が、川の脇には溺死体が、 防空壕(ぼうくうごう)らしい一メートルほどの穴の中には蒸し焼きになったと思われる人々が、 道端(みちばた)には子供を背負ったまま事切れたらしい人の姿も見える。

 背中だけがやけに白く、 傍(かたわ)らに転がる子供の遺体は、その空を掻く手が行き場を無くしたかのようにむなしく見えた。

「どこへ、向かっているんですか」

 俺は林老人にそう問いかけた。

 彼はまっすぐに前を向いたまま、迷いの無い足取りでどこかを目指している。

「……第三中学だ。今は都立高校になっている」

「学校、ですか」

 確かに、この焼け野原のなかで、ランドマーク的な物を見つけるのは困難だ。

 通常ならば店や橋を目印とすることもできるだろうが、どこを見ても人の、いや****************************

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