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「そいつは、今調べてる組織の娘かもしれない」

「え…」

予想外の言葉だった。そこまでやばい人だと思わなかった。

─じゃあ、私に近づいたのは目的があったって事になるじゃん…あの時、私に話しかけた理由は…

嫌な理由を想像したのか、璃奈りなの顔が暗くなった。それに気づかない兄の白輝 輝琉しろき ひかるがまた話し出した。

「情報が出たんだ。だから、璃奈お前に頼み事がある」

「私に出来ることなら何でも手伝うよ 」

璃奈は、表情を整え、冷たい声で煽るように言い出した。

「お兄ちゃんがそうして望むのならね」

輝琉の顔が光で反射して、見えないが声が緩やかに話した。まるで、煽るように言った璃奈の言葉が聞こえないように。


「それは助かる。静樹 朱里しずき あかりに近づいて欲しいんだ。できるか?」


「うん…任せて、完璧に終わらせる


「あぁ、*期待してるぞ*」


言い終わると、兄が私を車に置いた。

「行きたい所あるか?」

「ない、いや…アソコで」

「ソコが好きなはもうソコに住めば?」

さっき、璃奈が煽ったから、仕返しに煽り返したのか分からないが、悪気のある言葉だと璃奈は理解していた。

「それも…いいかもね 」

冷静に返す璃奈を見て、輝琉は無言になり、車を動かした。

私のお兄ちゃんは、私に優しい時は必ず目的がある時と、お母さんの前で優しい振りをするのだ。それに慣れた私は、時々兄の優しさに、気持ち悪く感じたり、たまには、それに甘えたりして…そんな私を兄は喜んでいた。まるで私が兄のお人形さんみたいに…

─目的が果たして良かったね…お兄ちゃん

私は暖かい車の中で、深い眠りについた。

そして、懐かしくて、恐ろしくて、曖昧な記憶の一部の夢を見た。

若い頃の私は、誰の前でも元気で、この世界が大好きだった。だがある日、誰かに

「真っ直ぐ行って、右に曲がって、狭い所を通れば、お菓子が貰えるよ」

と言われ、純粋な私はそれを信じ、可愛い女の子と一緒にそこに向かったら、誰もいなかった。公園もなく、ただの空き地だった。

その時に、女の子の方に車が来た。私は何故かその子を押し、車に轢かれた。


轢かれた瞬間、目が覚めた。汗だらけの私を見て、兄が言い出した。

「悪夢でも見たのか?」

「うん…ちょっとね」

この夢は見過ぎたが、やっぱり慣れない。悪夢と呼んでもいいぐらい、最悪の夢だった。それでも、あの時の運転手の顔に見覚えがある。何処かであった気がする… 私を轢いた運転手は逃げたらしく、今でも捕まってない。まぁ当たり前だろう。だって、この世界には約三十億人もいるんだから。

「お兄ちゃん」

「なんだ?」

「事故った時の跡ってやっぱり治らないのね」

私は無意識におデコの跡に触れた

「医者がそう言ってんだろ」

「ついたぞ、さっさと降りろ」


「うん、ありがと」

私は振り向かず、そのまま、父の墓場に向かった。

私は誰も知らない兄の秘密を沢山知っている。例えば、皆が尊敬するほどの凄い人物、私達の父親である、父を兄は嫌っていると言うこと。皆を隠し通しても、子供の頃からずっと一緒にいる私には隠せない。これのせいで、兄は私の事がものすっごく嫌いである。


「お父さん、会いに来たよ」

私は優しい目で父の墓を見た。

「お父さんは私に会いたかった?私は会いたかったよ」

私はしゃがみこんで、墓に書いてある父の名前を心の中で読み上げた

白輝 隆宏しろき たかひろ

白輝 隆宏は有名な医者であった。

手術を寝ないで、4日もやって休む所で私が事故にあった。その時、父は自分の体調を無視し、私の手術をやってくれた。そのせいで、いつも寝不足だった父が死に至った。家族は私のせいにはしなかった。なぜなら、家族が一番、父の死を望んでいたからだ。

「お父さん、例え世界中がお父さんの事が嫌いでも私は好きだよ」

私は最後の言葉を残し、立ち去った。


「次は、一人で行け」

車に戻った瞬間にそう言われた。私は無感情で同意した。

父が亡くなった瞬間に私が家族への感情も無くなってしまったのだ。母は、私を束縛する。兄は私をお人形扱いをする。ただ普通なのが父だけだった。父が私の味方になり、私に優しくしてくれた。だから、父が亡くなった日は、私の死亡日でもあった。

幸せそうな家庭の裏は皆が想像できないぐらいに醜い。表ではどんだけいい人でも、裏では悪い人かもしれない。

静樹 朱里しずき あかり…貴方の裏はどんな人なの_?

璃奈は、考える度にネガティブ思考しか出てこなかった。だから、考えるのをやめ、スマホを取り出した。そこで、あるニュースが目に入った。

《ある組織が不明の薬を五十人に配り出し、その五十人が即死した》

その時、同時に兄のスマホが鳴った。チラッと見たら、兄の友達であり警察官でもある清水 蓮しみず れんが電話かけてきたのだ。兄はその名を見て、すぐに切った。

「出ないの?」

「出てどうする」

「大事なことかもしれないよ?」

「事件に関係ないお前に聞かれたらヤバいだろ」

私はその言葉でなんも言えなくなった。確かにそうだ。事件と言えば、さっきのニュースか…そうね、静樹 朱里の父の事かもしれない。そう思うと、少し心が落ち込んだ。何故なのか自分も知らなかった。

私の恋はおかしいですか?

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コメント

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「完璧に終わらせる」って璃奈が言ったところが太文字になってる!!!何故なのかちょー気になるんだけども!!!続き待ってます!

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