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卍「ポーランド、ここを見てごらん」
案内されたのは薄暗い地下の一室。
鉄の扉と錠前。窓もなく、冷たい石壁。
卍「……ここなら、安心だ」
🇵🇱「……え? あ、あの……どういう意味ですか…?」
卍「ここに入ったら、誰も君を傷つけない。誰も君を奪わない。そうだろう?」
ナチスさんの声は優しいのに、どこか逃げ場を塞ぐような響きだった。
🇵🇱「で、でも……僕、外の部屋で大丈夫です……! ここはちょっと……」
卍「ポーランド、私を信じろ」
🇵🇱「……っ」
優しい声と視線に射抜かれ、胸が苦しくなる。
でも本能が告げていた。ここに入るなと。
胸が熱くなるのに、心臓は恐怖で跳ねる。
逃げたくても足が動かない。
卍「さあ、入りなさい」
促されても動けなかった。
怖くて、嫌で、ここに入ったら二度と出られない気がして……。
🇵🇱「……いやです……」
そう言った瞬間、空気が変わった。
卍「――は?」
ナチスさんの目が細まり、笑みが消えた。
次の瞬間、腕を強く掴まれ、頭を床に叩きつけられる。
ガンッ
🇵🇱「う”っ……!」
卍「調子に乗るなよッ……!」
さっきまでの丁寧な口調は消え、荒々しい声が響いた。
頬を打たれ、視界が揺れる。
卍「お前は俺の言うことを聞けばいいんだよ!じゃないと…じゃないと!」
「あいつに負ける……!」
痛みと恐怖で、涙が勝手に溢れる。
🇵🇱「ご、ごめんなさい……!ごめんなさい……!」
怒鳴り声が地下室に反響する。
もう逃げ場なんてなかった。
どれくらい叩かれたか分からない。
ただ、ナチスさんの息が荒くなった頃、ふいに彼は動きを止めた。
🇵🇱「……っ……」
そして僕を抱き上げ、震える身体を抱きしめた。
卍「……すまない、ポーランド。私が……悪かった。」
耳元で、さっきとはまるで違う優しい声が囁く。
卍「痛かっただろう? もうしない……君を傷つけたくなんてないんだ……」
「本当にポーランド、君を愛している」
温かい手が涙を拭う。
その仕草に、また胸がぐちゃぐちゃになった。
🇵🇱「……ぅうっ…」
怖いはずなのに、抱きしめられると少し安心してしまう。
暴力の痛みよりも、「愛してる」と言われた時の声が耳から離れない。
ナチス「君は私の宝だ。誰よりも愛している。」
――宝。
その言葉に、僕はまた縛られていく 。
数日後。
地下の部屋で過ごすことが当たり前になっていた。
外に出たいと口にすれば怒鳴られる。
逆らえばまた叩かれ、謝られ、抱きしめられる。
繰り返すうちに、僕はどう言えばナチスさんが怒らないかを覚えた。
どう振る舞えば、優しく撫でてもらえるかを。
だけど、
自分でも分からなくなっていた。
⸻
その夜
檻の前に立つナチスさんの背中を見ながら、僕は布団の中で丸くなる。
彼はずっとそこに座り、僕を見つめていた。
卍「……寝るんだ、ポーランド」
柔らかい声。
だけど目は笑っていない。
卍「俺から離れることは許さないからな。君は俺の宝だ。」
そう告げると、ナチスさんは静かに笑った。
暗闇の中で、檻の奥に眠るポーランドを見つめる。
その小さな身体は、かすかな寝息を立てながら震えていた。
卍「可愛い……壊したい」
胸の奥から甘い独占欲が溢れる。
叩いたことは後悔している。
だが、それでも離す気は一切ない。
卍「ふふっ……俺だけの宝……」
俺だけの”物”と考えると、自然と笑みが漏れる。
だが不安もある。
あの東の赤い男。
卍「……ソ連。」
その名を口にした瞬間、怒りが込み上げてくる。
あいつは必ず狙ってくる。
もしポーランドを奪われたら……俺は――
卍「渡すくらいなら……いっそ、この手でポーランドを殺す」
ポーランドを見つめながら呟く。
その言葉が自分の胸を震わせる。
――宝であり、呪い。
ポーランドは、俺を狂わせていく。
???「取られた…」
(*´艸`)