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#溺愛
高瀬船
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#女性向け
常陸之介寛浩
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黒猫ている
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#ハッピーエンド
黒猫ている
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ダリアは怖いくらいの笑顔で手紙の束を指差した。さあ、選べと言っているようだ。
私に結婚の意思はない。それでも、もしも伴侶を選ぶなら……
「……後ろ盾とするなら、伯爵家かそれ以上の爵位をお持ちでなければならないわね」
「子爵家では心もとないですし、男爵家はもってのほか。どこも、お嬢様をお嫁に欲しいといいますが、ここの領地を狙ってのことでしょう。となれば」
私へ届いた手紙の中から、ダリアは子爵家や男爵家から送られたものを引っ張り出し、机の脇に置いていく。
最後に彼女の手に残ったのは、たった一通だった。
「やはり、ロックハート家が最良でしょう」
「だから無理よ。お継母様が許さないわ」
そう告げれば、ダリアは小さく舌打ちをした。時々、ものすごくガラが悪くなるのよね。私以外には見せない姿だけど、この淑女らしからぬ態度、いつか誰かが見るのではと心配でならない。
「ご縁談は難しいとしても、ロックハート家とは懇意にすべきだと思います」
「でも、ロックハート家はフォスター公爵家の家門よ。あまり深入りしたら、ペンロド公爵夫人の怒りを買う可能性もあるわ」
ロックハート家から届いた手紙を見て、私は小さくため息をついた。
貴族社会というのは、どうしてこうもややこしいのだろうか。
アデルハイム王国には、王族を祖にもつ公爵家が十二ある。その中で最も力を持っているのはフォスター家だ。古くから国を支えて来た由緒あるフォスター公爵家は、現国王だけでなく有力貴族からの信頼も厚い。そのフォスター家に近年対抗しているのがペンロド家で、我がレドモンド家はその家門になる。確か、お父様のお祖父様の奥様がペンロド家縁のお嬢様だったとか。
どんなに遠縁でも、血の繋がりをやけに大切にするのよね。特に、魔術師を輩出している家門は血筋に煩い。我がレドモンド家も、古くから有能な魔術師を輩出してきた。
有能な魔術師を輩出することだけに注力するなら、名家であるロックハート侯爵家と姻戚関係を持てるのは喜ばしいはずなのだが、諸侯のパワーバランスはそう簡単じゃない。
大好きなお姉様のことを考えると、ロックハート侯爵家との繋がりを大切にしたい。古い柵を断ち切った方が、いいに決まっている。
だけど、ややこしい貴族の相関図を頭に描くと、溜息をつかずにはいられなかった。
「ペンロド公爵夫人の怒りを買ったら、やっと安定した商会との繋がりも危うくなると思うのよ」
今まさに頭痛の種となっているものを書状の束から引っ張り出して、ダリアに渡した。それを受け取ったダリアから視線をそらし、ティーカップの中を覗く。
少し冷めた鮮やかな紅茶の揺らめきを見ると、再び溜息がこぼれた。
先を考えると、どれもこれもペンロド公爵家と継母の存在が現れる。まさに、目の上のたん瘤だわ。
「……ウィンズロー商会ですか?」
「そう。ペンロド夫人と懇意にされてる商会だから、無碍にはできないのよ」
「お嬢様が若いからといって、足元を見てくる銭ゲバじゃありませんか」
「銭ゲバって……」
ウィンズロー商会は金のためなら何でもすると噂だ。彼らの本国に暴力行為を意味するゲバルドという言葉があり、それと銭をくっつけて、お金に汚い人を「銭ゲバ」と揶揄う言葉が作られるきっかけになったなんて噂もある。
不愉快そうな顔のダリアに苦笑い、私は小さなクッキーを口に入れた。
仄かな蜂蜜の甘さを感じる素朴なクッキーを噛みしめれば、甘味がゆっくりと溶けるように体へと染み渡る。そこに紅茶を流し込むと、胃の奥がじんわりと痺れるように温まり、体が疲れているんだってよく分かった。
それもこれも、取引で問題が絶えないからなんだけど。
コメント
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6話読了!推し活メモるよ〜✍️📖 ペンロド公爵家と継母が「目の上のたん瘤」っていうタイトル、めっちゃ胸に刺さる…😭 政治的な駆け引きと家族のしがらみ、ダリアの“銭ゲバ”発言には笑っちゃったけど、二人の信頼関係がにじんでて好きなシーン! お姉様のこと想うとロックハート家と繋がりたいけど、継母とフォスター家のパワーバランス…悩ましいね。領地狙いの縁談の数々、主人公の複雑な心境がひしひし伝わってきたよ〜。次も楽しみにしてる!!🌸