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夕刻、訓練場は静寂に包まれていた。その一角で、メイは木刀を握りしめ、
一心不乱に剣の練習を続けていた。「強くならなきゃ」という彼女の囁きが、
時折、夕暮れの風に乗って運ばれる。振るうたびに木刀の重みが手に響き、
手の平を見れば、まめがつぶれ血がにじんでいた。
練習が終わり、医務室に向かう途中、メイの心は不意に和真との出来事を思い出した。
診察とは言え、彼に見つめられたあの瞬間が、まるで映画の一コマのように脳裏をよぎる。
「どうしよう、なんか顔を合わせずらいな」と思いつつ、彼女はそっと医務室のドアを開けた。
「す、すみません」と声をかけるが、返事はなかった。ほっとした様子で中に入り、絆創膏を探し始める。
しかし、その時、背後から突然の抱擁。「泥棒捕まえた!」という声に、メイは驚きを隠せなかった。
声の主はアイだった。「あ、ご、ごめんなさい、誰もいなかったから」と、メイは慌てて言い訳をした。
「今日はどうしたの?」アイの問いかけに、メイは自分の手を見せた。
「実はまめが潰れちゃって」その言葉に、アイは優しく「練習がんばってるんだね、ここに座って」と、
メイを椅子に座らせた。慣れた手つきで消毒と包帯を巻いている姿に
メイは関心しているとアイはメイの目をじっと見つめた。
メイ「?」
「霜月くんって男の子が好きなの?」というアイの突然の質問に、
メイは「え?!」と驚きを隠せなかった。アイは続ける。「だって和真先生を見る目が違うんだもん」
「そ、そんなことないよ」と、メイは真っ赤になりながら答えた。その瞬間、
彼女の心は複雑な感情で満たされた。和真への感情がなんなのか、自分でもよくわからなかった。
アイはメイの目を見つめながら、ゆっくりと顔を近づけてきた。
メイは心の中で(アイちゃん、顔が近い・・・)と戸惑いを隠せなかった。
アイは少し微笑みながら、「アイのこと、嫌い?」と囁き、メイの膝の上に軽く乗った。
「き、嫌いじゃないよ・・・」メイは動揺しながら答えた。アイはその返事を聞くと、
上着のボタンを一つ一つ外し、メイに近づいていった。
そして....そっと唇を重ねた。
メイの心は混乱していた。
(こ、これ一体どうすれば・・・!!まさか初キスの相手が女の子なんて)
しかし、アイの柔らかく女性らしい体に触れると、ふと自分がかつて女の子だったことを思い出した。
その感触は、遠い記憶の中で忘れ去られていた何かを呼び覚ますようだった
しかし、今のメイは男の身体を持っている。この事実は、メイにとって複雑な感情を引き起こした。
メイは(ああ、これが女の子の身体なんだ・・・自分が女の子だったことなんて、忘れていた・・・)
と、ふと感じた。
アイはメイの緊張が少し和らいだのを感じ取ると、さらに深くメイの唇に舌を滑り込ませた。
メイは驚きながらも、その感覚に心が揺れた。柔らかく暖かい唇と、生々しい舌の感触が何とも言えず、
頭の中が真っ白になっていった。思わず、メイはアイを抱き寄せてしまった。
「んっ・・・」とアイが小さく声を漏らしたその時、突然、和真の声が響いた。
「はーい、そこまで!」と手を叩きながら現れた。メイとアイは驚いて彼の方を振り向いた。
和真の顔には、少し困ったような笑みが浮かんでいた。
メイは驚きと恥ずかしさで顔を赤らめ、心の中で(せ、先生に見られた!?)と混乱していた。
和真は軽く咳払いをすると、優しく微笑んで「アイちゃん、ダメでしょ」と言いながら、
アイの頭をポンと軽く叩いた。
アイは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐにいたずらっぽく笑い、
「ごめんなさい。でも和真先生、霜月君はちゃんと男の子だよ」と言いながら、メイの股間を指さした。
メイはその瞬間、羞恥心で全身が熱くなるのを感じた。自分が今、
男の体を持っていることを改めて意識させられ、言葉を失った。
和真はその様子を見て、少し困ったようにため息をつき、「アイちゃん、もういいよ」と言って、
メイに向き直った。「メイちゃん、これは男の子なら普通のことなんだよ。
何も恥ずかしいことじゃないから、気にしすぎないで」
だが、メイの心は複雑だった。うつむきながら、低い声で「私を試したの?」と問いかけた。
アイは驚いた表情で、「え、違うよ、試したとかじゃないよ」と弁解した。
しかし、メイの心の中では、和真に男の部分を見られたこと、そして
アイにからかわれたことが複雑に絡み合っていた。その思いが一気に噴き出し、
メイは怒りと羞恥心で声を震わせながら、「もう二度と私にかまわないで!」と叫び、医務室を飛び出した。
アイはその場に立ち尽くし、困惑した表情で「えー、どうしよう先生!」と和真に助けを求めた。
和真はアイを落ち着かせるように、
優しい声で「大丈夫、混乱してるだけだよ」と言いながら、アイの肩に手を置いた。
医務室の外でメイが走り去る音がかすかに聞こえる中、
和真は静かに、「アイちゃん、少し時間をおいてから、メイちゃんに謝りに行こう、
時間が経てば冷静になれるはずだよ」と続けた。
アイは小さく頷き、「うん、そうする」と答えた。