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メイは医務室を飛び出し、外の水飲み場で頭から水をかけた。
冷たい水が彼女の熱くなった顔を冷やし、少しだけ心が落ち着いた。
メイは小さな声で「アイちゃんにひどいこと言っちゃたな」とつぶやいた。
しかし、和真先生に見られたことが頭から離れず、気持ちに整理がつかなかった。
立ち上がると、心臓が爆発するようにドックンと動き出した。
バクバクと鳴る心臓にメイは息苦しさを感じ、「い、息ができない!誰か、助けて」と叫んだが、
その声は虚空に消えた。視界がゆがみ、メイはその場に倒れた。
夢なのか現実なのかわからない空間の狭間にいるような感覚に包まれ、気が付くと
メイは再び現世の学校にいた。
彼女はゆっくりと階段を上り、屋上のドアを開ける。
ここは、メイが飛び降りた場所だった。彼女はその時の恐怖を思い出しながら、
「私、ここから…」とつぶやいた。
その時、不意に「よう」と声がかかった。驚いて振り向くと、「!!」
今のメイと同じ顔をした男子が立っていた。メイは自分の身体に触れ、
元の女子高生に戻っているのを確認した。
「あなた誰なの?」と問いかけた。
男子は静かに微笑み、「おれはメイだよ」と答えた。
メイは混乱し、「どういうこと?」と尋ねた。
男子のメイは深い溜息をつき、
「俺たちは元々、一つの魂として存在していたんだ。」と話はじめる
かつて一つだった魂が、邪悪な呪いによって異なる世界へと引き裂かれた。
メイはその呪いを解くため、異世界へと導かれる。しかし、
その解放の鍵はメイ自身の覚醒にあった。
男はメイに告げた。「メイ、呪いを解かない限り、一つの魂には戻れないんだ。
まるでプラスとマイナスのように、もう一人の自分が異世界にいる時、もう一人は現世にいる。」
「その呪いは誰が作ったの?」メイは問いかけた。
男子は答えた。「母親さ。」
「母親?!」メイはさらに驚いた。
遠い昔、異世界で神獣魔狼との深いつながりから生まれた一つの魂。
それは母親の呪いによって引き裂かれたのだ。
呪いを解くためには、メイが異世界で覚醒しなければならない。
「覚醒っていったい?」メイは男に問いかけた。
男のメイは説明した。「母は今、呪いが増殖されている。
あの世界で魔獣を操り支配しようとしているやつらの手によって。
このままだと、メイも魔獣を操れる者として母のように利用される。だから、覚醒するんだ。」
「でも、どうすればいいの?」メイは不安そうに尋ねた。男のメイは何かを彼女の手に渡した。
それは暖かく青や紫に輝く牙だった。「これを。」
「これは?」メイはその美しさに見とれていた。
「魔狼の牙の一部だ。肉体と心が解放された時に必ず役に立つだろう。」男のメイは説明した。
「魔狼の牙…」メイはその言葉をかみしめた。
男のメイはメイを抱きかかえ、屋上の柵に座らせた。
「ごめん、あまり長く話せないんだ。現世の始末はオレがつける。安心して。」
そして、彼はメイをドンと手で突き落とした。
ドックン心臓が大きく動く音
メイは目を覚ました。そこは彼女が倒れた場所、水飲み場だった。