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ぽこたの場合それはある日の夕方東京での大寒波が襲った時だった。ぽこたこと江川直樹は、今日も今日とて作業部屋の机に向かい黙々と最近人気がでてきたうさぎとそこらへんの犬を描いていた。どのくらい集中してたのだろう。ふと顔を上げるとスマホに緑のアイコンに通知が来てることに気づいた。内容を見てみると、殆どは公式アカウントからの通知だったがあるアカウントにスマホを撫でる指が止まる。自分でもわかるほどそのメッセージをニヤニヤしながら見つめる。正直きもい…とまぁ気を取り直して、メッセージは今みんなに内緒でお付き合いさせてもらってる女性からだった。一言『今から行くよ!お酒とお土産買ったからぽこちゃんに久しぶりに会いたいー』というなんとも可愛らしいものだった。手短に「まってるうううううう!」と送り、作業部屋を出ると人を呼べるような部屋ではない惨状だったからいそいそと片付けを始めるぽこただった。
彼女との出会いは5年前の冬コミでの事…彼女はいわゆるシャッターと呼ばれる超大手サークルの人気絵師だった。
ぽこたのことはインディーズの歌い手時代から知っていたらしく、同じ元会社員で歌を聴いて元気をもらっていたということを知ってとても嬉しかったのを覚えてる。手紙とお茶と軽くつまめるお菓子をプレゼントしてくれた。 そのことをきっかけに某青い鳥に押しかけ、相互フォローしてもらい、色々あって今に至る。彼女は元々地方に住んでるが、東京にもアトリエがあるらしく最近はそこで寝起きしてるらしい。最近個展やらネットショップの経営やらで東京と地元を行き来してると以前言っていた。
数分後…ようやく片付けも掃除も終わった頃インターホンがなる。緑のアイコンに『来たよ!開けてー!』とメッセージが入ってるのに気づき「わかった!待っててー」と送りいそいそとロックを外す。
しばらくしてインターホンがなり、ドアを開けると、外が相当寒かったのか頬を真っ赤にしてる結構グッとくる可愛すぎる[ここ重要]彼女がいた。
『ビール買ってきたよ。でも寒かったし中に入れて?』とマフラーを取りながら中に入ってきた。「そんなに外寒いのか。俺今日1日部屋にいたから全然気づかなかった…ソファ座ってろよ。ココア持ってくる」と手を取りソファに座らせ最近出したうさぎがついてるグッズのブランケットを渡す。「外寒かったよな…はいココア。」とココアを彼女に渡し自分はコーヒーを持って隣に座る。最近彼女も冬コミに向けて忙しいらしい。毎年シャッターだから早めに原稿を上げたりグッズを用意したりしてるから少し余裕を持てたと言っていた。でも忙しいのは相変わらずのようで今も『ちょっとごめん』とアシスタントさんからの連絡を受けてるしばらくして『ごめんねー漫画の方手伝ってくれてるアシスタントさんが今描き下ろしのポストカードの方も手伝ってくれててトーンのことで電話して来たの。でももう解決したから大丈夫だよ』って笑って教えてくれた。
俺のグッズも手がけてくれたりしてて、そのおかげもあって売り上げが伸びたりしてる。彼女自身も歌い手をやっていてライブにも遊びに来てくれた。「あんまり無理すんなよ…おっちゃん心配だよ…」って抱きしめて耳元でそう囁いたら顔を真っ赤にして照れて(ものすごく可愛い)『ぽこちゃんも無理しちゃダメだよ。大好きだから倒れたら泣く…』と珍しくデレた。ちょっと理性戻ってこい。
しばらく抱きしめてたら『お腹空いた…ぽこちゃんのご飯食べたい』と彼女がボソッて呟いた「じゃあご飯にするか!パスタでいいよな?手伝ってくれるか?」って言ったら笑ってわかったって俺の後着いてきた。2人でキッチンに立つとまるで新婚みたいでニヤけてると、彼女も同じことを考えてたらしく、にこーってしてるから、「なんかこうしてると俺たち新婚みたいだよな。」って言ったら思いっきり足踏まれた(痛い)耳が赤くなってるから照れ隠しだと分かる。鍋から手ぇ離して頭わしわししといた。『やーだー!髪型崩れる!』とココアを飲んで落ち着いたのか年齢相応の反応が出るほどリラックスしてるらしい「ごめんごめんwじゃあお前そこの野菜切ってくれるか?」とお願いすると、料理も得意な彼女は『わかった』と包丁を握り手際よく材料を切っていく。俺は彼女の切ったものをガンガン炒めて行き、パスタ麺を茹でる間にソースが出来てしまった。あとは盛り付けるだけだからとテーブルセッティングをお願いすると『お酒は?今日道具あるから作るよ?』と言われ、お願いすることにした。今日もキャリーケースの中に道具やら色々入れてきたということだろう。BARでも働いていたということなので、おまかせすることにした。パスタが茹で上がりソースをかけてテーブルに持っていく頃には彼女もお酒を作る準備が整ってたらしく、『じゃあぽこちゃんの好きなの作るからそこ座って?』と促され、焼酎で作るカクテルを振舞ってくれた。これは1度別のとこで飲んだことがあり美味しかったのを覚えてるけど、彼女が作ってくれたものの方が美味しかった。「これ1回BARで飲んだことあるけど…これのが美味しいな。焼酎になにか入れてるのか?これステアで作るやつだろ?作り方も違ったし…」そう本来これはステアで作るためこんなに香り高くならないのだ。シェイクで作るお酒ではないのでびっくりして聞いたら使った焼酎を見せてくれた。そこには花を丸々一輪入れたなんとも美しい焼酎があった…これを作るために地元に戻っていたらしく、お土産もこれで作った焼酎だった。『手作りだからこれに関しては早めに飲んでね。ロックで飲むと美味しいよ』と飲み方を勧められた。彼女はたまに泊まりに来てくれるのだがその時必ず俺にあったカクテルを振舞ってくれる。この前はカシスソーダだったな…と思い出し思わず笑顔になる。『なーに?そんなに美味しかった?そういう顔されるとこっちまで嬉しくなるね』と照れくさそうに片付けをしながら言われたから「ほら。冷めちゃうからパスタ食おうぜ。」と席を勧め2人でいただきますをして食べ始める。彼女の美味しい顔を見ると幸せな気持ちになる。そんなあったかい気持ちが胸に広がってずーっとニコニコしながら食べ進めてると、先に食べ終わったのだろう彼女が『なにニコニコしてるのー?可愛いねぇ。はやく食べないと冷めるよ』って言われて慌てて食べ勧める。2人とも食べ終わり、片付けも済ませてソファでくつろぐ。少し酔っ払ったのかさっきから彼女がすりすりと胸元に擦り寄ってきて理性が危ない。
「なぁ…明日は一緒にいられるのか?久しぶりにデートでもしよう?」と誘うと、んー?いーよー!なおくんとでーとだー!と久しぶりに愛称で呼ばれ少し照れてしまう。しばらくソファでテレビを見ながら彼女の頭を撫でていたらいつの間にか寝息が聞こえてきた。寝室に運ぼうとテレビを消し、部屋を暗くして、横抱きに抱き上げたら思いのほか軽く、きちんと食べているのか心配になったがそれは自分が言えたことではないので口には出さないが明らかに疲れた顔の彼女の額に軽いキスを落とし自分も寝ようと横になる。年齢より幼く見える彼女に疲れてたのに会いに来てくれたのかとまた温かいものが胸に広がり軽く抱きしめる形で眠りについた。
目が覚めた彼女が恥ずかしがってべしべし叩かれた後朝ごはん(彼女作)を食べて久しぶりのデートで惚れ直したのはまた別の話…
END