その日、俺の苛立ちはピークだった。
押しに押した長時間の撮影の中で、集中力を切らさないように必死な俺にいけしゃあしゃあとメンバーの悪口やありもしない噂を吹き込んで来た関係者。
怠い、早くして、帰りたいを連呼し始め俺にしつこく同意を求める共演者。
誰かのせいにしたがる人、犯人探しやなすりつけ合いを始める人、そのせいで不必要にピリピリした現場の空気。
仕事だからと持ち堪えたけど、本当は全部嫌で仕方なかった。
家に帰ったら阿部ちゃんが笑顔で出迎えてくれたのに、心の余裕をなくしていた俺はそんな優しさすら能天気だと感じて更に苛立ちを募らせた。
廊下で抱きしめてくれた阿部ちゃんに体重をかけて床に押し倒し、そのままそこで。
普段同じような事があってもベッドまでは行けたのに、今日はもう無理だった。
『止まって、1回抜いて』と懇願する阿部ちゃんの声すら煩わしくて口を手で塞ぎ、抵抗する手も片方頭の上で押さえつけて無理やり欲を吐くまで続けた。
そしてお望み通り1回抜いた時、俺のものにはべったりと血がついていた。
🖤「あ……!」
頭の先から足の先まで、急激に冷えるような感覚に囚われる。
強引に開いた脚を閉じる気力もないようで、膝を震わせたまま阿部ちゃんは顔を腕で隠してぐしゃぐしゃに泣いていた。
阿部ちゃんの優しさに甘えすぎている自覚はあった。
いつかエスカレートするんじゃないかと不安でその気持ちを心に留めておいたのに、今日は自分でも恐ろしいほど歯止めがきかなかった。
なんて声をかけたらいいかわからず、お湯を絞ったタオルを持ってきて出血を拭ううちに自分が怖くなって涙が出てきた。
🖤「ごめん、本当に……あの」
💚「…俺、しばらく会うのやめておこうか?」
🖤「うん……自分が何するかわからない。このままだと阿部ちゃんの事壊しちゃうかも知れない」
阿部ちゃんは、少し考えていたけど『わかった』と答えた。
そうは言っても、さすがに今帰れるほど動けないのはわかる。
阿部ちゃんをベッドに運んで寝かせ、ソファに横になる。
こんな言いにくいことまで先回りで言わせて、どうか愛想を尽かされたのではありませんように、でもそうだとしても仕方ない…と2つの思いが頭をぐるぐると巡って、疲れているはずなのにずっと興奮状態で眠れなかった。
コメント
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2杯目です。 振られてもしょうがないなこれは😓
こらー!めめ!!