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「星を愛した騎士」
「私を探さないで_____」
その手紙を最後に、とある騎士は姿を眩ませた
「あ、」
「お星様だ」
狭くて灯のない部屋で、少女は言う
少女が言う事は皆独り言だった
狭い窓から見える星が、少女の友達だ
「星の神に捧ぐ生贄はどうなさいます」
何者かが少女の牢の近くで話す
「そうね、あの子でいいでしょう」
足しか見えないが、 少女の横の牢だ
横の牢の少女…少年?は連れられていく
「あの子はお星様を見られるんだよね?」
「私も外に出て、星をもっと近くで見るの」
生贄に選ばれた子供は夜に生きたまま焼かれる運命だ
少女はその事をもちろん知っている
親が犯罪者で処刑されて親がいない子
親に捨てられた子
親に売られた子
生きていても、死んでいても、結局意味がない存在
みんな星の神様が大好きだ。だからこうやって生贄を捧げる
真夜中。少女は眠れなかった
「ねえねえ起きて」
「ねえってば」
少女は体を起こす
「だぁれ?」
その女の子は少女と同じくらいの子で、 星のようにきれいだった
「逃げないの?」
「逃げる?ここにいたらいつか出られるのに…」
「違うの、一生出るの」
その不思議な少女は手を握る
「そしたら一生星を見ていられるよ!」
その時に、「初めて」少女の目に光が宿った
「お星様…」
不思議な少女はそっと換気扇を指差す
「あそこ、ボロボロだね」
少女は換気扇向かって走り出す
拙い走りだったが、換気扇は壊れ、外への道が開いた
「わあ」
少女はその景色に感動する
「見てみて!きれいだよ!」
不思議な少女の姿はすでになかった。全部少女の儚い妄想だった
少女は徘徊する。いく当てもない。国を超え、どこまでもいく
そのうち、とある場所にたどり着いた
「ん、子供?入れ、風邪をひくぞ」
中に入りなさいと言われ中に入る
赤ちゃんの鳴き声がする
「こいつはレンって言うんだ。五ヶ月くらいだ」
「お前さんはどこから来た」
少女は俯く
「じゃあ…名前は?」
「ない 」
「親は?」
「知らない」
「じゃあお前さんは…『アモール』なんてどうだ?」
少女は頷く
「よし、じゃあアモール、そうだな…とりあえず部屋で休むか」
「うん」