短編集🍏
もとぱ
「 花占い 」
❤️🎤side
「 好き、嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い… 」
僕の隣のベンチで花占いをする涼ちゃん。そんなことしなくたって僕なら愛してあげれるのにな、なんて。
相手はどうせ若井。距離は近いし、恋人繋ぎはするし、僕なんてただのバンド仲間の親友、としか思われていない、いや、親友とすら思われてなかったらどうしよう。
不安な考えが頭の中をぐるぐると駆け巡る。
「 … 涼ちゃんさ、いっつも花占いしてるけど、若井のこと? 」
「 ん? ぇ、なんで? 」
少し困惑した素振りを見せる涼ちゃん。あ、ほんとに若井だったんだ、と視界が少しぼやけた。
「 いや、いっつも一緒にいるし、距離感近いしさ? 」
「 … それなら元貴の方が近いと思うけどね?笑 」
苦笑をする涼ちゃんは、僕に嫉妬しているの?あ、そっか、笑
ネットでも「 もとぱ距離近くない? 」とか、「 付き合ってる? 」とか… 色々噂されてたもんね。
まぁ僕は、涼ちゃんとの噂の方が嬉しいけど、笑でもさ、それは無いじゃん。 僕が隣にいるのにな。でも同棲してたしね、そりゃ気になるよね。笑僕なんかより、若井の方がかっこいいし、可愛いところもあるし、気遣いできるし、涼ちゃんのこと沢山見てるのかなぁ。なんて、涼ちゃんがこんなこと思うことはないってわかってるのに、若井と僕を比べて勝手に劣等感を感じて凹んで泣いて。 こんなことを思っていて、でもこの曲を聞いて救われて欲しいって気持ちを持って作ったアンラブレスも、何故か聞いても救われなかった。この劣等感はどう埋めればいい?ほんと、気持ちの穴がポンっと、急に増えてみたいで、
「 あ、ごめん … ちょっと寒いから帰る。 また明日。 レコーディングで、 」
「 ぇ、待って、ッ 、元貴ッ !? 」
無我夢中で、涼ちゃんから離れたくて、嫌われたくて、
もう、愛したくなくて。
こんな恋愛的に思ってしまう気持ちなんて、捨ててしまいたくて。明日のゴミの日に捨てれないかな、なんて。
恋心は、捨てれない、って、燃やせないってわかってるけど、収集車に乗せて連れ去って欲しくて。
「 … 僕のどこがだめだったのかなぁ… 笑 」
ソファに腰掛けながら、目尻が熱くなって視界がぼやけるのを確認すると、上を向いて目を少し瞑ってみた。
自分の嫌なとこなんてすぐに思いついてしまう。気遣いもできないし、若井みたいにかっこよくもないし、たまに出る可愛さもない。自分勝手だし他の人を考えることが出来なくて、自分のことが最優先に考えてしまって。曲のことだって、こんな自分が沢山テレビに出てしまって、こんな自分が、憎くて。
「 おぇ”ッ … 」
嘔吐物の酸っぱい匂いと味に鼻先がツンとした。明日レコーディングなのに、こんな泣いて、吐いて。
やっぱり自分は迷惑しかかけれない人間で、もう存在を消してしまいたくて。
リビングに出ると雨が降っていて、ここから落っこちれば、雨で自分の存在ごと消してくれたらいいな、もう、落っこちてしまおうかなぁ、そうすれば楽かなぁ。
やっぱり自分勝手だ、涼ちゃんと若井なら絶対こんな事しない。思うことはあっても、ミセスのために、ミセスがって。
自分よりミセスを最優先にしてくれて、自分なんかとは真反対で。とにかく辛かった。
気持ち悪いなぁ、
ぴーんぽーんッ … こんこんこんっ …
濡れた髪と頭に玄関からなる愉快な音が頭に響く。少し頭痛がしながらも、重たい足を動かして、誰か確認すらもせずに扉も開けた。
「 元貴… 」
走ってきたのか、髪はびちょ濡れで乱れており、肩を上下させながら白い息を吐く涼ちゃん。
僕の為にこんなことまでしてくれるの?雨の中走ってきてくれるの?
「 ッ ~ … 涼ちゃ、ッ … ひく、”ッ … 」
濡れないように玄関に涼ちゃんを引き寄せ、抱きしめる。
だいすき、だいすき、すき。愛してる。
この思いは止まらなくて、涼ちゃんの顔を見る度に加速していくだけだった。
でも、言葉にしたらこの関係が壊れてしまいそうで、怖くて。君から離れるのが辛くて、君に断られたら軽蔑の目を向けられてしまうの?君ならそんなことはしないってわかってるけどさ、
やっぱり怖いもんは怖くて、涼ちゃんと目を合わせられなかった。
「 んふ、元貴、どうしたの? 」
背中に涼ちゃんの大きくてやさしい手が触れると、ぎゅうっと抱きしめてくれた。
「 … 嫌わないで居てくれるの? 」
そんな言葉がふと出てしまった。どうせ涼ちゃんのことだから、嫌わないよ、話してごらん?と笑ってまた抱きしめてくれるだろう。
「 嫌わないよ、話してみな?笑 」
予想通りの反応、行動だった。僕の体にはさらに暖かみが増え、眠たくなりそうだ。涼ちゃんとのハグが大好きだなんて、これからの言葉次第で言えなくなるんだ
「 … 俺、涼ちゃんが好きみたい…ッ、笑 」
苦しそうな顔をして涼ちゃんを見つめると、驚いていた。そりゃそうだ、涼ちゃんは若井が好きなのに僕は涼ちゃんが好きだなんて。困らせてばっかりだなぁ。
「 … 僕も、 元貴、大好きだよ。 」
唇に触れるだけの口付けをされると、もう一度、とまた触れるだけの口付けをされた。
幸せ、僕。
「 …でも、ッ 、さ、若井の涼ちゃんの距離が近いって言ったら、僕の方が若井と距離が近いって… 」
なんだか疑わずには居られず、そんな言葉を涼ちゃんにぶつけてしまった。
弱い、弱いよ僕。
「 ん?あ、笑 それはね、僕と元貴の方が距離近いよね?ってことだったんだけど…笑 ごめんね、勘違いさせちゃったね、笑 」
にっこり笑っていつの間にか目から零れていた僕の涙を涼ちゃんの指で拭うと、もっかい抱きしめられて、部屋行こうよ、と促され部屋に向かった。
部屋に行くと他の男とは違い、押し倒しもせずに僕を寝転がせ、隣に涼ちゃんは寝転んだ。お風呂入ってきな?と言うと、元貴が寝た後に入る、寝るとこみたい、と少し笑って、とんとんと背中を優しく叩かれながら僕は眠りについた。
朝起きると涼ちゃんに抱きしめられていて、これが夢じゃないと認識させられて嬉しかったのは涼ちゃんには秘密。
短編集とか言いながら2000文字超えたのなんなの??いつもより書いてんじゃん。
コメント
5件
少し遅いですけど、「気持ちの穴がポンっと」のところで、"ダンスホール"でしょうか.... コメント失礼します🙏🏻
どっかにみせす様の曲の歌詞入ってます!!見つけてみてねー!、