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平行視線その後 のイメージです
平行視線に入れたかったのですが、添削の時に1話分章を丸ごと消していたのでうまく後ろに入ってくれず、単独の話としてあげます…
読んでいなくても多分大丈夫です
Hayato×Jinto
Jinto side
勇斗はこちらを振り返りはしたが、何も言わず、そのまま向こうをむいて去っていった
俺は名前を言うことも叶わず、ただ後ろ姿を見つめるしか出来なかった
「は…」
息が出来ず飛び起きて吹き出る汗が嫌な伝い方をする
思わず勇斗の声を聞こうとしてスマホを持ったが時間は深夜
自分に腕をまわし、抱き締めて震えを抑え、夜を過ごした
常識的な朝になり、どうしても声が聞きたくてまだ震える手でスマホを握った
数コールで勇斗が出た
「もしもし?どした?」
「あ…」
なんと言うつもりだったのだろう
うまく言葉にならず、
「…嫌な夢、みただけ…声聞いたら、元気出たよ」
「元気じゃない声だぞ」
何も言えなくなり、勇斗も黙っている
わかっている
勇斗はいなくならない
俺の声を、言葉を待ってくれる
わかってはいる
でも
せめて声を聞いていたい
聞いていないとどうにかなりそうで
「…愛してる、勇斗」
勇斗も言って欲しいという気持ちが混じる
すがるような声になってしまった
応えて…
「俺も、愛してるよ」
その声に少し息が出来ているような気がした
「…仁人、俺そっち行くわ」
嫌でも異変を感じ取ったらしい勇斗が言った
「いい、お前仕事だろ」
心配させたいわけじゃない
仕事に障っても困る
でも嫌な気持ちはぬぐえない
勇斗は何も言わない
電話が切れた
正確には、多分、切られた
やってしまった
かけなければ良かった
ベッドに横になり、頭を抱えて丸くなった
布団をかぶって視界を遮断した
どれくらいの時間がたったのか、目を開いても閉じても暗闇でわからない
「はあ、はあ、…仁人…?」
布団をめくられて少しだけ目の前が明るくなり、息があがった勇斗と目があった
なんで…?
かき抱くように抱き締められる
「なんか仁人が消えそうで…」
「…ごめん」
「いた、良かった…合鍵あって良かった…」
言わなければ、と思った
息が続かない
声にならない
でも、伝えなければ
「…は、やと、が、いなくな、る夢、みて、声、聞いた、ら、大、丈夫って、思った、のに」
「大丈、夫、だって、知ってる、は、やと、は、そんなこと、しない、大丈夫、だって、わかっ、て、た」
「でも、俺、何も、言えなく、て、届か、なくて」
「じんと、呼吸早くなってるゆっくり息して」
抱き締める腕に力を込めて勇斗が言った
頭を撫でながら、俺の呼吸を整えるように勇斗はゆっくり息を吸い込み、吐き出した
「怖かった?…何も出来なかったから嫌だったんだ」
その問いになんとか頷いた
「仁人…電話かけなきゃよかったって思ったんだろ。 心配かけたとか変に思われたとかって… でも、お前がヘルプ出してくれたんだって俺は嬉しかったよ」
そう言って微笑まれ、力が抜けた
勇斗の呼吸に合わせてゆっくりと空気を吸い込み、吐き出すようにつとめ、少しずつ落ち着いてきた
「愛してるよ」
安心した表情で、こめかみにキスされた
「俺も愛してる」
言葉にすると、胸がじわじわ暖かい
「…来てくれてありがとう」
「俺も会いたかったから」
その言葉に、口角が上がるのを感じた
「も、大丈夫だな」
「うん、ありがと」
「いつでも言えな、俺も言うから」
「…うん」
「俺仕事行ってくるわ」
「うん、気をつけて」
「愛してるよ」
「愛してるよ」
お互いにもう一度腕に力を入れて抱き締めると、どちらからともなく体を離した
「こっち帰ってくるから」
「わかった、待ってる」
「あ、ちょっとは寝ろよ!…行ってきます」
勇斗は振り返り、俺をしっかり見つめて言うと、あわただしく出ていった
「行ってらっしゃい」
扉が閉まっても、姿が見えなくなっても、もう息は出来た
言えて良かった
「…ちょっと、寝るか…」
もう、大丈夫
勇斗はここに帰ってくる
fin.
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