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ATTENTION
・こちらはnmmn作品です。
・Irisの意味がわからない方は観覧をお控えください。
・こちらの物語のパクリ、朗読を硬く禁じます。
・キャラ崩壊有り
・上記の内容を踏まえた上でご観覧ください。
・青さんsideから始まります。
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家路地に着くと、ドッと疲れが押し寄せる。
この辺は子供が住んでいる家が多いから、こんな時間に明かりが付いている家は少ない。
明かりが付いている家もちらほら見かける。
家の中からは楽しそうな笑い声。酒でも飲んでいるのだろうか。何れにせよ羨ましい。
ちらほらと見える街頭を横目に、前へ前へと足を動かす。
家に帰ったら何をしようかななんて。
随分と楽に、暇に、退屈になったものだ。
2ヶ月前にいれいすは引退。表向きではいいように。
ただ、本当は…、
先を考え始めるとキリがない。強いて言うなら裏切ったのだ。メンバーが。
当時は動揺で頭も上手く回らなかった。今はきっと冷静に判断できるだろうが、過ぎた過去にもどれはしない。
そんなことを1番分かっているのはリーダーだから、今でも俺に連絡をよこすのだろう。
たまに来る飲みに行かないかのメール。
少しだけ鬱陶しく、少しだけ嬉しく。
あと2日後に会う予定を立てた。
グループに所属していた頃は毎日のように顔を合わせていたから日常の話が絶えなかった。
でも今は仕事の話も長らくしていない為話が弾むだろう。
少しだけ楽しみで、その場に彼が居ないことが心残りだった。
※
約束の時はあっという間に来るもので、大手ビルの入口に立ちながらスマホをいじっている。
新しくアカウントを作った𝕏。
前まではやらなかったインスタまで、今では楽しく見ている。
人の気配を感じて手を止めると、目の前にはいつもと変わらない桃髪の彼が立っていた。
久しぶりだねと言うように目配せをし、2人並んで予約していた店に向かう。
何となく気まずくて、何から話せばいいか分からなかった。
横目で彼を見ると、どこか楽しそうにしていたので、いつものノリで何かいいことがあったのかと聞くと、
「こうやって歩くのも久しぶりじゃん?」
人を魅了する笑顔をこちらに向けながらそう答える。
何となく恥ずかしくなって、そうやねって答えると、
「照れてんの?可愛いww」
なんて言って笑われてしまう。
何となく会話に流れが出来たところで1番気になっていたことを聞いてみた。
青「髪、染めてないんやね。」
特に意図は無かった。ただ、もう普通の一般人に戻ったのだ。
今更過去に菅る必要はない。 はたまた彼が過去に菅るように見えなかった。
少しの沈黙の後に、彼が口を開いた。
桃「そう言うまろだって、髪の毛。染めてないでしょ?」
俺らやっぱり似た者同士だねなんて笑う彼。
心の中を見透かされたような気がして複雑な気持ちになる。
何となく嫌になって、早く行こうとぶっきらぼうに言えばはいはいと言いながらいつものペースで着いてきてくれる。
その事実が何となく嬉しくて、口角が上がったのはここだけの秘密。
店に着くとなんとも高そうな店。
だがどこか既視感があった。
案内された席に着いたところで思い出す。
青「ここって、…」
桃「あ、気づいた?」
桃「懐かしいよね。ここで”3人で”よく作業したよね。」
グループ所属時代によくお世話になった飲食店。
テーブル下にコンセントも有り、WiFiも有りでよく使っていた。
本当は個室もあるのだが、なんとなく3人がよくて狭い2人掛けの席に椅子を1つ足して3人でパソコンを開いて作業をしていた。
窓側が俺の席。
大きなアンティークの時計の前がないこの席。
来る度に申し訳なさそうに椅子を借りて通路側に座るのが彼の席。
通い続けると店主が予約がある度に椅子を置いてくれてたのを思い出した。
ちょっとだけ懐かしくて、あの頃よく飲んでいた物を注文する。
店主は少し前に他界しているため、店主の奥さんが注文を取ってくれている。
伝票に注文を書く手がとまり、今日は悠佑くん居ないのね、なんて聞いてくるからびっくりした。
少しだけ固まっていると、横からよく通った声で、
「今日は、予定が合わなかったんですよね」
なんて、微笑まじりに答えるものだから、少し可笑しくて笑いながらそうなんですよねと告げた。
嘘をつくないこも、それを隠す俺も。
注文を取り終え、キッチンへ戻っていくのを見送り、手元へ視線を移す。
聞きたいこと、話したいことは沢山あったはずなのに、どこから話したらいいのか分からない。
最近会ってもないし、頻繁にと言う程連絡も取っていなかったため、どこまでを知っているのかも分からない。
何となく不便だなと感じる一方、彼が俺について知らないことがあると言う事が少しだけ特別だった。
ただ、今回で一つだけ確信を持てたことがある。
彼も過去を引きずっている。
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桃side
久方ぶりにまろと会って、元気そうで何よりと安堵した。
不意に髪の毛を染めていないことを指摘され、まろもでしょ?と返せばそうだったらしい。いつになってもないこちゃんの考えは当たっているのだ。
今回この店を予約したのも、この話をしたかったから。
この話、と言うよりは、この話に関係する話。
一応元リーダーだけあって、まろ以外のメンバーとも連絡を取っているから、今何をしているのかは割と把握済みだ。
ただまろはあまり自分の事を話さないからあんまり分からなかった。
不自然な程に貼り付けた笑顔をお互いに見せながら、気まずい空気を過ごす。
途中で注文していたものが届いて、ありがとうございますと告げた自分の声は、想像よりもずっと小さく、掠れていた。
いつかは、話さなければいけないと思っていたが、今になるのは嫌だった。
何となく、関係が崩れるのが怖かった。
あのさ、
口を開くが出たのは空気だけ。
勿論こっちを見ているはずもない訳で、気づいていない。
その事実に息を付くが、話をどう切り出そうか悩む。
共通点から話を出そうと思った時に、一つだけ話したいことがあった。
彼の家族について。