テラーノベル
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私は完全に逃げ場を失っていた。佐野くんの体が、私の上にゆっくりと覆いかぶさってくる。
『先輩、昨日覚えてへんのやったら……』
『俺が、ちゃんと体で思い出させてあげます』
「ちょ、待って……!」
抵抗しようとしたけど、腕は簡単に押さえられた。
力の差がありすぎる。
唇が重なる。
最初は優しく、探るように。
でもすぐに、深く、貪るように変わった。
舌が絡まって、息が奪われる。
「んっ……!」
昨日の夜の感覚が、ぼんやりと蘇ってくる。
熱い吐息、絡みつく手、耳元で囁かれる『先輩、好きやで……』という声。
「……っ、昨日……本当に……」
キスを離した晶哉は、私の顔を覗き込んでにやりと笑う。
ワンコだった笑顔はもうどこにもなくて、代わりに浮かぶのは飢えたオオカミの表情。
『そう、昨日も先輩、こんな風に俺にキスしてきて……』
彼の手が、私の胸をゆっくり撫で下ろす。
肌がびくりと反応する。
『ここ触ったら、可愛い声出して……俺の名前、何度も呼んでたで』
「や、やめて……そんな……」
恥ずかしさで顔が熱くなる。
でも体は正直に、昨夜の続きを思い出して疼き始める。
晶哉は私の脚の間に体を滑り込ませ、再び深く繋がる。
『ほら、先輩……昨日もここ、俺のこと離さへんくて……』
動き始めると同時に、昨夜の記憶が断片的にフラッシュバックする。
私が彼の背中に爪を立てて、甘い声を上げていたこと。
「晶哉、もっと……」と自分から腰を動かしていたこと。
「やっ……思い出した……!」
『ええよ、全部思い出して』
彼の動きが激しくなる。
ベッドが軋み、部屋に甘い音が響く。
私はもう、声を抑えられなかった。
どれくらい時間が経っただろう。
体が震えて、頂点に達した瞬間……
私は完全に昨夜の自分を思い出した。
酔って佐野くんに甘え、求めて、すべてを許してしまったことを。
息を切らしながら、私はぼんやり呟いた。
「……仕事、行かなきゃ……」
時計を見ると、もう朝の9時近い。
遅刻だ。
慌てて体を起こそうとするけど、晶哉に抱き寄せられて動けない。
『先輩、仕事今日休みでしょ?』
「……え?」
『ホンマに仕事一筋なんやな、先輩』
佐野くんはくすくす笑いながら、私の額にキスを落とす。
『今日は一日、俺と過ごそうや。まだまだ、先輩のこと思い出させてあげたいことあるし』
その瞳は、もう完全に私を逃がさないと宣言していた。
私はもう、抵抗する気力すら残っていなかった。
ただ、この甘い檻に閉じ込められるまま……
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