テラーノベル
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ORVASアジト・訓練施設
冷たい鉄の匂いと、乾いた汗の残り香が漂う訓練場。
重い空気の中、烈堂の鋭い声が響いた。
「……構えが甘い。死にたいのか」
次の瞬間――
ドゴッ!!
烈堂の拳が公太の腹部へと深くめり込む。
「ぐっ……!!」
公太の身体が吹き飛び、床を転がった。
だが――
「まだだ……まだ終わってねぇっ!」
すぐに立ち上がり、再び構える。
その姿を見た烈堂は、不敵に笑った。
「根性だけは一人前か。なら――叩き潰す価値はあるな」
巨体が一歩踏み出すたび、床が軋む。
圧倒的な威圧感。
それでも公太は真正面から飛び込んでいった。
壁際では、畑中が腕を組みながら静かに見守っていた。
その目は戦いそのものではなく、もっと先――未来を見据えているようだった。
(まだまだだな……公太)
(だが、お前には可能性がある)
ほんのわずかに口元が緩む。
だが、その表情に気づく者はいない。
烈堂が拳を構える。
「――来い、クソガキ。地獄の底まで付き合ってやる」
公太も拳を握り締めた。
「おうよ! 俺をナメんなよッ!!」
再び拳が激突する。
訓練場の空気が熱を帯びていった。
数時間後。
公太は汗だくになりながら鍛錬を続けていた。
荒い呼吸。
震える足。
それでも動きを止めない。
畑中が静かに口を開く。
「力は十分ある」
「だが、もっと無駄を削げ」
「無駄に力を散らすな」
公太は舌打ちした。
「……チッ、わかってるっての」
悔しそうに言いながらも、動きを修正していく。
その様子を見て、烈堂が歩み寄った。
「休憩だ」
「限界まで追い込むな。まだその時じゃない」
公太は荒い息を吐きながらベンチへ腰を下ろした。
畑中が烈堂へ問いかける。
「進捗は?」
烈堂は短く答えた。
「フィジカルは申し分ない」
「だが戦い方が粗い」
「こいつの武器はパワーと根性だ。だが、それだけじゃ通じねぇ相手もいる」
公太は拳を握る。
「……わかってるよ、クソッ」
その言葉には、強くなりたいという焦りが滲んでいた。
その時――
ピッ。
#友達
たつ
53
#成長
ももは
551
#地獄
ユーカ
201
ジュリーの端末に通信が入る。
彼女は即座に応答した。
「唯我? どうかした?」
通信越しに聞こえたのは、落ち着いた声だった。
『ゼノスを倒した』
『捕獲を頼む』
ジュリーの瞳がわずかに見開かれる。
「了解。すぐに迎えを向かわせるわ」
通信は切れた。
ジュリーはすぐさま捕獲班の手配を始める。
その様子を見ていた公太が立ち上がった。
「なんで唯我がゼノスとやり合ってたんだ?」
「何が起きてんだよ!」
ジュリーは少しだけ沈黙した。
そして静かに答える。
「彼には、ある任務を任せていたの」
「任務って何だよ?」
公太が問い詰める。
だがジュリーは背を向けたまま歩き出した。
「教えてくれてもいいだろ!」
その声に足を止める。
ゆっくり振り返り、公太を真っ直ぐ見つめた。
「まずは自分の足元を固めなさい」
「――それが、あなたの今の任務よ」
公太は言葉を失う。
拳を握り締めながら、その背中を見送るしかなかった。
帰還
夜空の下。
一機のヘリが静かに飛行していた。
窓際に座る唯我は、星空を見つめている。
その隣には畑中。
後方には拘束されたゼノスの姿があった。
畑中が低く問いかける。
「……会えたのか?」
唯我は短く答えた。
「あぁ」
それだけで十分だった。
しばらくして畑中が再び口を開く。
「これからはどうする」
「お前がORVASに入ったのは、“あの子”を探すためだったろ」
唯我は静かに目を閉じた。
そしてゆっくり開く。
「……そうだな」
遠くの夜空を見つめながら続けた。
「世界を守るってのも――悪くねぇ気がしてきた」
畑中の表情が少しだけ柔らかくなる。
「そうか」
「ようやく前に進めそうだな」
すると後方から声が飛んだ。
「チッ……カッコつけやがって」
ゼノスだった。
拘束されたまま、不敵に笑う。
「でもな」
「俺に勝ったお前が、次で負けるなんて許さねぇからな」
唯我は小さく笑った。
返事はしない。
ただ前を向く。
その姿を見て、畑中は呆れたようにゼノスへ視線を向けた。
「お前は黙ってろ」
「帰ったらたっぷり聞かせてもらうぜ」
ゼノスは肩をすくめる。
「……へっ」
「拷問より怖ぇな、あんた」
ヘリは夜空を進み続ける。
無数の星々が輝く空。
その光を見つめながら、唯我は静かに呟いた。
「……あの日の俺じゃ、もうない」
その瞳には、確かな意志が宿っていた。
希望。
覚悟。
そして――未来。
新たな戦いへ向けて、物語は再び動き始める。
コメント
1件
読み終わったよ🥀 烈堂と公太の訓練シーン、熱かったな…拳と根性だけでぶつかってく公太、カッコよかった。「まだ終わってねぇ」って立ち上がる姿にグッときたよ。畑中が静かに見守ってるのも、その奥にある想いが伝わってくる感じ。 唯我の「世界を守るってのも悪くねぇ」ってセリフ、すごく響いた。前を向こうとしてるのが伝わる…あの日の自分じゃないって言葉にも重みがあった。 ゼノスもやっぱり良いキャラしてるね。「次で負けるなんて許さねぇ」って、ただの敵じゃなくなってきてる感じがして好き。 全体的にキャラの距離感とか関係性が少しずつ変わってきてて、物語が動き出してるのが伝わってくる一話だったよ…🌙