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神😇✨💕 ☆☆☆る†┏┛墓┗┓†
こぼれそうな涙を堪えて三ツ谷くんの方を見た。
少し驚いたような、焦ったような顔をしていた。
ドアが少し開いた時空いていた手の方を掴んできた。
三「少し待って」
武「うん。」
返事なんてするつもりもなかった。何故か答えてしまった。
その場で三ツ谷くんは携帯電話を手に取って電話をしていた。
その場で5分ほど待った。
待っている間さっきからずっと掴まれている手は握る力がどんどん強くなっていった。
三ツ谷くんの電話の内容は
「今回のイベントを辞退させて欲しい」
という内容だった。
話が終わると三ツ谷くんは俺をリビングの方へ誘導した。
向かい合った時三ツ谷くんは口を開いた。
三「何がダメだった…?」
そう言うと悲しそうな顔をした。
俺は三ツ谷くんを悲しませたかったんだっけ?
今回の辞退のことも全部俺のせいだ。
原因は自分。そうわかっているから辛くなった。
とりあえず三ツ谷くんの受け応えをしないと。
そう思って口を開いた。
武「俺…」
結局肝心なことは何も言えなかった。
怖くて、辛くて、俺は下を向いた。
力が入って握り締めている拳に涙が落ちた。
喉がしまって次第に呼吸がしずらくなっていった。
三ツ谷くんが何か言おうとした時、怖くて俺はまとめた荷物を急いで背負って玄関に走った。
勢いよくドアを開けて走った。
後を追って来ようとする三ツ谷くんはこんな時でも冷静でしっかり戸締りを急いでして出てきた。
俺は運動もそんなできないから足も遅かった。泣いているせいか前もしっかり見えていない。
後ろから三ツ谷くんの声が聞こえてくる。
次第にだんだんと大きくなって最後には追いつかれてしまった。
三ツ谷くんは俺の腕を勢いよく引いた。
その拍子で俺は倒れそうになった。後ろにいた三ツ谷くんは俺を受け止めた。
急いで立ち上がってまた逃げようとしたが腕をまた掴まれてしまった。
前を向くと焦っているような悲しいような顔をしている三ツ谷くんがいた。
今回のイベントを辞退させて、困らせて何してるだろ。
自分のわがままで三ツ谷くんを振り回して、これじゃただのお荷物だ。
俺は三ツ谷くんみたいな才能がある訳でもない。三ツ谷くんみたいに努力している訳でもない。本当は三ツ谷くんの隣にはもっといい人がいるべきなんだと思うようになっていた。
三「帰ろう。」
俺は下を向いて無言で小さく首を振った。
三「わかった。一旦場所を移そうか。」
そういうと俺の荷物を取り上げ手を握り直した。手を優しく引っ張って場所を移した。
向かった先はドラケンくんのバイク屋。
ド「何してんだよ」
三「ちょっとな、家帰りたくないって言うからさ、裏で話させてくんね、あとこの荷物ちょっと預かっといて」
ド「いいけど、今日中に解決しろよ」
三「当たり前だろ」
そして俺たちは裏に向かった。
出入口できる扉がひとつ。空間は2畳ほどだ。
この狭い空間から出るには三ツ谷くんをどうにかしないといけない。出たところでドラケンくんにつかまるかもしれない。
ほんとに自分の事しか考えてなくて、自分に腹が立つ。
三ツ谷くんを前にするとどうしてもわがままになる。
勝手にムカついて泣いてバカみたいだ。
俺は下を向いた。
三「ねぇ、これからどうしたい?」
武「……距離置きたい…」
三「なんで?」
三ツ谷くんは俺をあやすかのように首の後ろに手を回し頭を撫でながら優しく抱きしめた。
三「俺の事嫌いになった?」
武「全部嫌い…きらい…」
三「そっか。でも俺は好きだよ」
武「なんでよ…俺は俺が嫌い…」
三「どうして?」
武「わがままだし、三ツ谷くんみたいに才能もないし……なのになんの努力もできないし……外見だって良い訳じゃないのにかっこいい三ツ谷くんの隣に立ってるし……もう全部嫌い…」
三「武道は可愛いよ。俺は昔から武道は頑張ってたと思うよ。それに俺は武道にずっと好きでいて欲しいから毎日かっこよく居たい。」
三「武道がわがままって思っても俺はわがままだなんて思ってないよ。」
武「なんでよ…」
三「なんでだろ。るなまなの面倒みてたからかな。内心さ、武道が俺にわがまま言ってくれる度に愛されてるって実感するよ。」
三「今日家出て行こうとしたのってさ、武道なりの気遣いだろ?いつも仕事の期間になると邪魔しないようしてくれる所とか、頼んだりしてなくても飯作ってくれるとことかさ」
三「俺はすげー恵まれてるよ。こんなに完璧な恋人が居るから俺は仕事ができんの。」
三「武道が思ってることもっと素直に言って欲しい。不安になったらもっと言って欲しい。俺も仕事になると武道のこと見えてないところもあるからさ、何が嫌なのか言って欲しい。」
三「ほんとは気づいてちゃんと理解してあげたいけどさ、俺不器用だから。一所懸命頑張って気使ってくれる武道が居ないとダメだわ」
三「だからさ、これからも俺と一緒にいて欲しい。俺はこれからも武道と居たい。武道はどう思ってる?」
武「俺も……三ツ谷くんと一緒に居たい…」
三「うん。顔上げて?」
俺は涙を手で拭って顔をあげた。
優しく微笑む三ツ谷くんを見るとどんどん涙が出でくる。
武「ごめんなさい……ほんとは嫌いじゃない…」
三「うん。知ってるよ。帰ろ?」
武「帰る…」
三ツ谷くんは俺の手をひいた。
ド「解決したか?」
三「あぁ、急にごめんな」
ド「いーけどよ。それにしてもすげえ泣いてんな笑」
三「泣いてても可愛いだろ?」
ド「可愛い」
三「俺の嫁とんなよ」
ド「それはどーだか。たけみっち、三ツ谷が嫌になったらいつでも来ていいんだからな」
三「行かねぇから安心しろよ」
ド「それはたけみっち次第だろ?」
三「喧嘩うってんのか?」
ド「俺に勝てんのかよ?」
三「武道からの愛は俺の方が大きいんで」
ド「はいはい。武道今度遊びに来いよ。」
武「はい笑」
ド「なんかあったら連絡しろよ」
三「ありがとな。」
家についてからは沢山話した。
なんで俺が今日家を出ていこうとしたのか。最近不安だったこととか。
三「そうだったのか。ごめんな。話してくれてありがと。」
三「ほんとは今回の仕事終わったら結構長い休みになるからその時に言おうと思ってたんだ。」
三ツ谷くんが棚から出したのは小さい箱と婚姻届だった。
三「俺と結婚してくれませんか?」
武「うん!」
三「この後役所に書類提出しに行こ。これからは三ツ谷くんじゃなくて隆って名前で呼んでよね」
武「これからもよろしくお願いします。た、たかしくん」
隆くんは俺のわがまますら愛おしく感じるらしい。
fin