廃工場の残骸が積み重なった戦場に、突然、空気が歪み始めた。
目の前の景色が波打ち、現実が揺らぐ。
「ここは……どこだ?」
尾崎紅葉が周囲を見回す。
「視覚が狂わされている……まるで夢の中のようだ。」
「夢幻の罠だよ。」
静かな声が響き渡った。
そこに現れたのは、華奢で美しい女性──A.A.ミルン。
「私の異能“夢幻(ドリームリリース)”は、敵の五感を操り、現実と幻想の境界を曖昧にする。
さあ、迷い込んでごらんなさい。」
彼女が指を鳴らすと、戦場の空間は幾層にも重なる幻影で満たされ、敵味方の区別すら曖昧に。
「乱歩、気をつけて!」
ポオが叫び、乱歩の幻影を複製して敵の注意を引きつける。
「くっ……有栖川君、推理で突破口を探して!」
「ええ!」
有栖川は冷静に分析しながらも、幻影に翻弄されていた。
「夢と現の境目は……異能の影響を受ける“微細な矛盾”に隠されている。」
「なるほど、それなら……!」
末広鐵腸が刀を振るい、幻影を斬り裂くが、それが実体なのか幻なのか判別できない。
「影絵の異能を持つ大佛次郎がいれば……!」
紅葉が呟くが、大佛はまだ現れていなかった。
「夢幻の罠は恐ろしい。だが……」
乱歩は薄く笑みを浮かべる。
「迷い込むことも、計算の内だ。」
敵の罠に嵌りつつも、定番組は連携を強め、幻影の糸を解きほぐしていく。
「この夢、破ってみせる!」
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