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ナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)たちがアパートに戻ってくると、みんなが出迎えてくれた。
ただし、約一名に対して殺意を剥き出しにしていた。
「まあ、その、なんというか……こいつはずっと俺のことを待っていたみたいなんだ。そんでもって、ずっと雨を降らせてたのは俺をおびき寄せるためで……」
「私はナオトと交尾がしたいだけ。あなたたちと仲良くする気はこれっぽっちもない。だから、できるだけ近づかないで」
水色の長髪と赤い瞳と背中に生えた二枚の翼と水色のシッポが特徴的な美少女……いや美幼女がそう言うと、みんなは苦笑した。
彼女はナオトと交尾しやすいように擬人化したメスドラゴンである。
それはミノリ(吸血鬼)の水晶で見ていたから分かる。
しかし、そうだとしても彼女はナオトと交尾がしたいがために雨を長時間降らせるような存在であることに変わりはない。
そんなやつと一つ屋根の下で生活できる自信はほとんどない。
「マスター。このメスドラゴンを今すぐ排除してもいいですか? いいですよね? いいに決まっていますよね?」
コユリ(本物の天使)の笑顔が引きつっていることに気づいたナオトはミノリ(吸血鬼)に助けを求めた。
「銀髪天使。ナオトが困ってるから、そういうのは後にして」
「嫌です。マスターは誰にでも優しいですから、こんな交尾のこと以外、何も考えていないような低脳メストカゲは即刻排除すべきです」
「いくらこいつが淫龍《いんりゅう》の中の淫龍でも、そこまでする必要はないと思うわよ」
「お、おい、二人とも。当たり前のようにこいつの文句言うなよ」
「こいつって誰のこと? もしかして、私のこと?」
「え? いや、他にいないと思うんだけど」
「私、名前ないから私のことだって分からなかった。あっ、そうだ。ねえ、ナオト。私に名前を付けて」
「え? いや、まあ、それは別に構わないけど、あまり期待はするなよ?」
「期待はしてない。けど、少し楽しみ」
今なんか下げて上げた感じがしたな。
うーん、まあ、いいか。というか、当然のように呼び捨てなんだな。
彼は彼女の体を見ながら、彼女にぴったりな名前を考え始めた。
まあ、いつも通り、すぐに思いついたのだが。
「……シアン」
「え?」
「今からお前の名前はシアンだ。明るい青……つまり、お前は全体的にそういう色だからシアンだ」
「シアン……。そっか。それが私の名前……。うん、悪くない。ありがとう、ナオト。お礼にキスしてあげるよ」
「それは別にいいけど、口にはするなよ?」
「分かった……チュ」
「ま、まさか首筋にされるとはな。あははははは」
「物足りないのなら、もっとしてあげるよ?」
「いや、いいよ。で? お前はこれからどうするんだ?」
「ナオトと交尾するまで、ここにいる」
「そうか。うーん、とりあえず旅が終わるまで待っててくれないか? モンスターチルドレンを元の人間に戻せる薬の材料を揃えないと、俺は元の世界に帰れないから」
「分かった。そうする」
あっさり受け入れてくれたな。
まあ、何はともあれ、これで一件落着だな。