シアン(擬人化したメスドラゴン)はナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)と交尾をしたいから、ここにいる。
ここ。それは巨大な亀型モンスターと合体しているアパートの二階にある部屋のことである。
「ナオト」
「ん? なんだ?」
「私はいつまで雲を服代わりにしていればいいの?」
「え? あー、そういえば、そうだったな。うーん、じゃあ、しばらくこの『イビルシープ』の体毛を服の代わりにしよう」
彼が羊の体毛に触れる。
「ほら、ふわふわしてるぞ。お前も触ってみろよ」
「分かった」
彼女は人差し指で羊の体毛をつついた。
「……もこもこしてる」
「そうだな。もこもこしてるな。まあ、本当はこれで服を作りたいんだけど、まだまだ全然足りないんだよ。だから、お前は雲の時と同じように……」
「ナオトの皮膚《ひふ》で作る」
え? 今こいつなんて言った?
「えっと、なんか今、俺の皮膚でなんとかって聞こえたんだけど、聞き間違いかな?」
「ううん、違わないよ。こんなのより、ナオトの皮膚で作りたい。作らせて。作らせろ」
なんか命令口調になってるな。
というか、一着作るのにどれだけ必要なのか分かってるのか?
「えっと、それはちょっと勘弁してほしいなー。こっちの体毛でなんとかならないか?」
「なんとかなる。けど、条件がある」
なんか嫌な予感がするな。
「じょ、条件?」
「うん。その羊の体毛で普段見えちゃいけないところを私が隠したら、ナオトはしばらく私のお人形さんになるの」
「つ、つまり、その間、俺は動けないってことか?」
「うん、そうだよ。私が何をしても声を出しちゃいけないし、私がナオトの体を触ってる時に抵抗するのもなし」
それ、結構辛くないか?
「それ、普通に辛いんだけど」
「じゃあ、今すぐ全裸になってもいいの?」
それは困るな。
「それはやめてくれ。目のやり場に困るから」
「なら、早くお人形さんになって。ほら、早く」
い、今すぐか。
うーん、ちょっと……いや、かなり不安だけど、やるしかないな。
「分かった。えっと、俺は横になればいいのか?」
「その方がいい。さぁ、早く」
せっかちだな。
「はいはい、分かりましたよー」
彼が横になると、彼女は彼の左側に行き、コテンと横になった。
「それじゃあ、始めるよ」
できれば早く終わってほしいなー。
彼は叶う確率が一番低い願い事をした。
さて、これからどうなることやら。
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