テラーノベル
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一限目が終わり、五分休みを告げるチャイムが鳴り響く中、僕は考えていた。西山くん。あの時、彼は、言いかけたのか。兄との繋がりは彼のお兄さんだけなのか。彼に兄との直接の接点が会ったのか。気になる…。知りたい…。兄と西山くんの関係や兄のこと、彼のこと。僕の心は、知りたいと言う気持ちと、不安な気持ちでいっぱいだった。それに「君だから来たんだよ!」と言葉の意味も気になる。僕は、彼と昨日初めて会ったんだ。僕のことを知らないはずの彼は、なぜか僕のことを知っているかのように、君「だから」と言っていた。僕には、知らなきゃ行けないことがある気がする…。そう思った時、五分休みが終わり、再び学校中にチャイムが鳴り響く。二限目が始まる。
二限目は、学校行事のことに着ついてだ。九月から十一月は学校行事が二、三個程集まっいる、この高校では、数週間に一度、学校行事についての話し合いが行われる。今回は、学年で集まり、詳細を聞くという内容…。気が付けば教室には数名しかいなかった。しまった。移動教室で格技室行くんだった…。僕は焦りながらも必要なものを持ち格技室にかけて行った。格技室につくと、投影機で説明をするとき見やすくするため、格技室といった。この空間だけが薄暗く、黒いカーテンの隙間から日がチラチラとみえていた。僕は、ワクワクしながら席に着く。僕は、話に集中できずまた、考える。気になって仕方がない。西山くんが言いかけたこと。
僕は、集中できないまま、四限授業が終わり帰る準備をしていた。その時「蒼…!一緒に帰らない?朝の続きを話したい。」西山くんだ。彼の目は真剣そのものだった。僕は、そんな彼を見て深く頷いた。終礼を告げるチャイムが鳴り、教室は静まり返る。
終礼が終わる。人混みで上手く玄関に辿り着けず教室に身を引く。その時、後ろから僕を呼ぶ声が聞こえてきた。僕はびっくりし声の主を探す。緊張感が全身に染み渡るのが分かった。声の主が見当たらずウロウロしていると後ろから、懐かしさを感じさせる彼、西山くんが僕を呼んでいた。僕は一気に緊張が解け、肩の力が抜けて言った。「玄関、混んでて…。だから、教室で話そうと思うんだけどいいかな?」西山くんが不安そうに僕に質問する。僕は、一日中気になっている答えを聞けると、胸が高ぶった。僕は「うん。いいよ!気になっていたんだ…!」そう、彼に返すと、嬉しそうに微笑み、僕の手を優しく、教室へと引いていく。僕は、また。懐かしさを感じた。この手を引かれ、歩いている感覚、久々だ…。僕はよく兄に手を引いてもらい、夕方のオレンジ色に染まった、街を散歩していた。兄は、幼い僕の足取りに合わせ常に横にいた。
教室の中に入ると、誰一人として残っていなかった。みんな、昼食を食べに行ったり、部活動見学でもしているのだろう。教室は静かで、窓から昼の暖かい日が差し込み、薄暗いとこと日が差し明るい場所に別れている。彼は、引いていた僕の手をそっと離す。彼は明るいところに立ち、僕は薄暗いところに立った。明るい場所と暗い場所を繋ぐ境界線。僕は不安だった。その境界線で僕と西山くんの心の距離感を感じた。会ったばかりで心を開きあっていない。それは分かる。でも、なんだか僕は悲しかった。そんな僕の表情を見たのか「君のお兄さんは、優しかったよ。すごくね。」彼が話し出す。その表情は、少し寂しげだった。僕は「うん…。兄さんは優しかったよ、」僕も返す。「朝の続きなんだけど…いいかな?」寂しそうに聞いてきた。その表情を見て僕は、彼の手を優しく握り、頷く。彼は安心したように僕を見つめほほんでいた。「僕、蒼のお兄さんとあったことがあるんだよ…」彼が語り出す。僕驚きながらも優しく頷く。「それで、兄さんの友達ってこともあって…一緒に遊んでもらうことが多々あったんだ…」語っている彼の表情は寂しげに瞳を揺らしていた。僕は、彼を安心させようと、彼の手を握りながら頷いた。彼は、少し不安げに僕を見つめたまま、口を開く。「ある時、公園で遊んでたんだよ…ボールを使ってね…三人で…」申し訳無さそうにうつむきながら彼は語っていた。僕は、泣きそうになりながらも頷く。「それで…ボールが転がって行ってしまって…それを追いかけたのが僕だったんだよ…それで、引かれそうになってる僕に気づいて…それで…」話している彼の目には涙がにじみ出ていた。僕は、察しがついた。でも、ただひたすら、彼の言葉に頷いた。「僕を庇って…蒼のお兄さんが…ごめん…ごめんよ…」彼は、泣きながら僕に話してくれ。僕も泣きながら頷いた。「兄さんは、死に際にも優しかったんだね…。僕の誇りだよ…。」僕は震える声で答えた。彼は、嬉しそうな僕の表情を見たのか、彼は安心したように僕に微笑みかけた。そんな彼を見て、境界線を超え、明るいところで彼と抱き合った。僕は、彼の温もりを感じ、さらに涙が溢れてくる。彼は、嬉しそうに呟く「ありがとう…本当に…」と。僕たち二人は、教室に背を向け、玄関に向かって歩き出した。僕は、嬉しかった。兄が僕と彼を引き合わせてくれた、兄のおかげで、僕はひとりじゃない。そう思うと、心がまえよりずっと軽くなった気がした。「帰ろう?蓮…」僕は言った。彼は、笑顔で僕に答えた「うん!帰ろう!蒼!」そんな嬉しそうに返してくれた。
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