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僕は、家に帰ってひたすら泣いた。でもそれは、悲しい涙じゃなくて、喜びの涙だった。兄が引き合わせてくれた友達。それと同時に、兄のことをもっと詳しく、鮮明に知りたくなった。僕の前以外の兄の立ち居振る舞い…。考えることをやめた僕は、お風呂に入った。
そうだ。兄の部屋を見てみよう。兄についてないかわかるかもしれない。ここまで明かされていなかったが、兄の名前は「竹内斎」。僕は兄さんを名前で呼んで来なかった。一般的にはいつき、いつ兄、などと呼ぶのかもしれないが僕の場合「兄さん」と呼んでいた。兄は、優しく人当たりが良いがどこかミステリアスな雰囲気をまとっている人だった。でも、そんな兄さんがみんなは好きだったんだと思う。そんなことを考えていたせいか、お風呂に浸かっていることを忘れていた。のぼせてしまった。
僕は、よろよろとした足取りで服を着て、今もまだ、片ずけることが出来ないでいる兄の部屋の前に立つ。僕は胸騒ぎを覚えた。心臓の鼓動がドキドキと早くなっているのが分かった。震える手を抑え部屋のドアを明け、中に足を踏み入れる。兄の部屋はシンプルだった。当たりを見回すと、部屋に入ってすぐ左に参考書や数々の小説などがびっしりと入った本棚。右手には兄のクローゼット。クローゼットの奥手にあるのが兄のベット。本棚側の奥手には、参考書などが置いてあった。僕は、今もなり続けている心臓の音を紛らわせるようにして、机の上の参考書を手に取った。参考書はシュワクシャで数々の付箋などがつけられていた。そばにあった、ノートを手に取り、開くとノート一面に教科書や参考書の用語がまとめられていた。その一つ一つが丁寧だった。兄の成績が良かったのも、ひと目で納得できる。僕はこの時、初めて、兄の努力を知った。
僕の鼓動の音は止み、ただひたすらすごいと思った。それと同時に、兄のことがもっと知りたくなった。今日は、ここまで…。僕は好奇心を抑えそっと兄の部屋を後にする。 寝る直前にも、兄のことを知るために何をすればいいのか、僕なりに考え続けた。ふと、いままで疑問に思わなかったことに僕は、気づく。父さんや母さんはどこに行ったんだろう。一週間という短くも長くもない期間家を空けている。考えれば考える程、僕の頭には疑問が浮かぶ。幸い明日は休日、親も居ない。明日、色々なこと整理し まとめよう…。僕は暗闇に落ちていった。
ピンポーン、ピンポーン。僕は、インターホンの音で目を覚ました。朝だ、休日のアラームはいつも学校を出る時間に設定してある。そんなアラームがまだなる数十分前に目覚めた。それもインターホンの音で…。僕は、焦りながらもドアを開ける。そこには、優しい目で僕に微笑みかける蓮が立っていた。僕は混乱して言葉が変になった「どるしたの…来れんであしゃ早く…。」蓮が戸惑っているのが分かった。でも戸惑いと同時に笑いが込み上げできたらしい「ごめんごめんw出かけを誘おうと思って…w」僕は深呼吸をし、慌てながら「ごめん!休日誰かが来るの初めてで…」そう返した。そんな僕を見て蓮が嬉しそうに「じゃあ、僕が最初のお客さんだね?」と僕に言った。僕はわらった。久々に笑った。「そうだねっ!w蓮が最初の客だ!w」僕は笑いながらも蓮にそう返した。それは嬉しそうに頷いていた。それはそうと…。出かけを誘われた訳だ…。つまりこれは初めての客以前に、初めて友達と遊ぶってこと…??待ってくれ!展開が早すぎるだろっ!嬉しいけど、!今日は色々整理しようとしてたんだっ!誘惑に負けるなっ!いや、待てよ!蓮は、兄さんに庇って貰って生きている…。にいさんと遊んだことがある…。何か聞けるかも…。
そうだよ!友達とも遊べるし兄さんのことを聞ける!これはチャンスなんだよっ!僕の胸は高鳴りワクワクしていた。「その表情…OKってことでいいっ?」蓮がそう聞いてきた。「うん!行く!行きたい!今準備するな!」僕は返した。そう言うと蓮は嬉しそうな表情頷いていた。僕は家に戻り、出かけの準備を始める。人生初の友達との遊び!胸の高鳴りがますます音をあげ外にもれ出してしまいそうな程の音だった…!。