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青黒
メンヘラ、重いです
かっこいい黒さんはいません
黒さんが青さんリスナーへ憎しむ描写有
エセ関西弁有
君はずるい人だ。
真っ暗な部屋に横たわる1人の男。青い髪が酷く愛おしく、狂わしい程に依存したくなる。
抱きしめると眠りながらだが幸せそうに笑うその口角が大好きで堪らない。
これで君は俺だけのもの。にげたら駄目だよ。だって、ずるい人だから。
「まろ〜、邪魔するで〜!」
「あ!あにき!いらっしゃい!」
そう言い俺を勢いよく抱きしめる彼は、世間一般でいう「彼氏」という存在。いつものように額にキスを落とすと、柔らかく目を細めて俺の頭を優しく撫でる。そんな彼の表情が大好きで、独り占めしたいなんて我儘をよく抱くのだ。
でも俺は知っている。彼のこのような表情が俺だけに向けられるものではないことを。リスナー、それは俺ら歌い手にとって大切で仕方が無いもの。そんな彼女ら彼らに、Ifはよく笑う。優しくて暖かくて堪らなく幸せそうなこの顔をすぐに見せる。その事実に我慢ならない程に嫉妬していた。分かっているさ。こんな感情、醜くて見ていられないことくらい。でも耐えられなかった。全部全部俺だけのものにしたい。起きたばかりの眠そうでとろんとした可愛い目も、すぐに強がってそれでも泣いて俺に縋り付いてくるところも、情事の時の囁くような甘い声も、すべて俺だけのもの。
だから、やめてよ。そんな画面越しにばら撒かないでよ。俺だけに投げてよ。俺だけを愛してよ。俺以外に依存しないでよ。君の歌声だって俺だけのものがいい。
彼の配信時間が、俺にとっては拷問に等しいほどに辛くて。気づいた時には遅かった。
今日はオフコラボ配信の予定だった。待機枠のコメント欄に現れる彼のリスナーがどうしようもなく憎くて。
彼の口元へハンカチを持っていく。あにき?と不思議そうに首を傾げるが、3秒ほど経てば寝息を立てて眠ってしまった。ハンカチに染み込ませた薬は思いの外よく効くようだ。
彼の唇へキスを落とす。寝息だけを立てて起き上がらない彼。あぁ、なんて可愛いんだ、なんてカッコイイんだ。あの、あの人気者の彼が俺だけのものになっている。それだけで興奮が抑えられない。はじめて世界が美しく見えたその時だった。
パチリと目が覚めた。青い彼の、ではない。俺の、悠佑の、目が覚める。
やっと気づいた、これは夢であると。理想を押し固めた自分勝手な夢であった。自分でも歯止めの聞かなくなってしまった、ただの妄想。皮肉めいた笑みをもらしながらその場を立とうとした。そう、立とうとしたのだ。じゃらりと鳴る音。そこで初めて片足が鎖に結ばれていることに気づく。一気に血の気が引いていくのがわかる。1度冷静になり辺りを見渡すが何も無い。そう、何も無いのだ。怖い程に。 暗くそこまで鮮明に見える訳では無いが、確かに分かる恐怖。
「あ、あにき、起きたの?」
そんな中聞こえる愛おしい声。弾かれるように後ろを向くと俺の大好きな笑顔をうかべた彼がいた。
「あにきってばちょろいよね、薬仕込んだらすぐに寝ちゃった」
けらけらと可笑しそうに話すまろ。つかつかとこちらへ近づき、頭を優しく撫でる。
「あにきのね、俺への好きが暴走してリスナーに嫉妬しちゃうところも、嫌いなもの嫌いってちゃんと言うところも、可愛くて俺に必死に縋り付くこのお手手も、欲で顔を汚すと少し怒りながら舐めちゃうところも」
甘い甘い声が俺の脳内を支配する。倫理観なんてとうの昔に壊れてしまった。
「だぁーい好きだよ♡」
それからはあんまり記憶がなくて、ただソウイウコトをして、出してもらえるかと思ったらやっぱり縛られたままで。
我儘でしょうがないこんな俺の中にぶちまけられた彼の綺麗な綺麗な愛が、なんとも嬉しかった。
「あにき、中に出されて喜んでるの?変態さんだね」
そうやって意地悪く笑う彼に、1つお願いをする。俺を閉じ込めたままでいいから、一生外になんて出さなくていいから、抱く時だって優しくなくていいから、
「俺を、壊してーや、♡」
とっくに壊れてるなんて、気付かないふりをして。ずるい彼にずぶずぶとハマっていく。