TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

眠り続ける青と仲間の話

一覧ページ

「眠り続ける青と仲間の話」のメインビジュアル

眠り続ける青と仲間の話

2 - 第2話 黄色 待人を思う

♥

171

2025年01月18日

シェアするシェアする
報告する

本人様には関係ございません。

本人様にご迷惑のない様にお願いします。

フィクションです。

ギルドパロです。非常に捏造多いです。

青さんがずっと眠ってます。



あの日は、久しぶりの討伐依頼が入っていた。


シャークんは前日に別の依頼が入っているからと戦闘ができるぶるーくときんときで向かうことになった。

俺も行こうか迷ったけど、「いた方が心強いけど美味しいご飯を作って待ってて欲しい」ってきんときに言われて。

それならと2人に任せた。

任せてしまった。


2人が出て行ってから3時間ほど経った時、いつも通りただいまと言って2人ともギルドに帰ってきて、とても安心した。

おかえりと返した後のぶるーくの表情は何故か少し浮かなかった。いつもはヘラヘラ笑ってるくせに。

何か隠し事かと思っていきんときを見たけど彼はぶるーく同様やたら服が汚れていること以外は何ともなかった。


「着替えてこいお前ら、すぐ飯食べるぞ」

「はーい」

「…うん」

返事も怪しいぶるーくは珍しい。

きんときに何があったのか聞くか。

そう思ってきんときの顔を見た瞬間、彼は電源が落ちるかのように、瞼で虹彩を隠して立つ力を失っていく。


突然のことに驚いた俺は、息が詰まって声が出せなかった。

きんときの隣にいたぶるーくが、ハッと大きく目を見開いて彼が床に崩れ落ちる前に抱きしめるようにして支える。


「きんとき!!」


今まで上の空だったぶるーくが感情的になって叫んだ。

そこでようやく俺も体が動いて、きんときの状態を確認するために近づく。

倒れるにしては血の匂いもなければ毒をくらった話も聞いていない。


「ぶるーく、原因わかる?」

「…あ、頭、ぶつけてた、落ちて…」

「何だそれ、聞いてないぞ」

「…言ってないもん」


明らかに動揺しているぶるーくが、騒ぎを聞いて廊下に出てきたシャークんたちを見て肩を跳ねさせて俺から目を逸らす。

怒ったつもりはないんだけど、実際もっと早く言われていたらもう少し対応ができたかもしれないのは事実だった。


「きんとき…!?ねえきりやんきんとき大丈夫なの?」

「落ち着けナカム、多分脳震盪だからとりあえず動かさないようにして冷やす」

「俺氷のう持ってくる」

「頼んだスマイル」

「お、俺も行く!」


スマイルとナカムが離れると、状況を呑みこもうと黙り込んだシャークんと、ただ震えるぶるーくと 何も言わない俺ときんときだけになって、途端に静かになる。

…このギルドの正式な医療担当はきんときだ。

俺がわかることは一般的な知識と比べれば多いが、医療に携わるには少ない。

でも、俺がなんとかしなければ。


「ぶるーく、俺怒ってないから。何があったのか詳しく教えて欲しい」

「………ぼくの、…僕のせい、」

「ぶるーくの?」

「僕が周りを見れてなくて、それで、崖から落ちちゃって」

「…!」

「本当は僕だけが落ちるはずだったのに、きんときが、僕のこと追ってきて、抱きしめて、何言っても離してくれなくて」

「それで2人で落ちたって?」

「……ごめん、なさい。僕がちゃんとしてたら、優しいきんときは巻き込まれなかったのに」


「ぼくがわるいの」と言って腕の中にいる力ないきんときを強く抱きしめるぶるーくはとてもじゃないが落ち着いているとは言えず、見ていられなかった。


「そんなに高くなかったし、僕は守られたから平気で、でもきんときは頭押さえて、なのに大丈夫だって言ってて、だめでしょって怒っても、平気なんだって聞かなくて」


言葉もつながりを考えず溢れ出る感情をそのまま声に出したようで、ぶるーくも相当参ってしまっているのだろうと見当がつく。


「ぶるーく、きんときのことはきりやんに任せよう」

「でも、」

「シャークんの言う通り。きんときは任せて、お前も休んだほうがいい」


シャークんがうまく誘導してくれたおかげで、ぶるーくはこの場から離れる気持ちになったらしく、シャークんに引き連れられて行った。

ずっとここにいられても困る、きっとあいつが辛いだけだし。


「お前らしいな、なんか」


意識のないきんときに話しかけてみたりしてももちろん返事なんてものはなく、ただ虚しく俺の声が廊下に残るだけだった。


「きんとき、調子どう?」


声をかけながら窓を閉ざしているカーテンを開けて昼の明るい光を入れる。返事はもちろんない。俺が「任せて」と言ってから1ヶ月。容態に未だ変化はない。悪化することもなく、ただ緩やかに命が削られていく。


「ぶるーくきたんだろ、どうだった」

「あいつも最初は引きずってたけどさ、最近は戻ってきてるよ」

「大変だったんだぞ、まあお前のせいではないけどさ」

「…」


返事はなく、いつも通りの独り言。

笑ってくれよ、また俺のこと手加減なしで叩いてくれよ。


「…最近はナカムも辛そうでさ」

「最近ここにも来ないだろ?寝れてないみたいなんだよね、明らかに隈とかできちゃって」

「お前ズッ友なんだろ?なんとかしてやってくれよ」

「俺には何もできないよ」


俺は、もう待つしかできないよ。

眠り続ける青と仲間の話

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

171

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚