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「…ぅぅ」

「もかっぺ、どしたん?断られた?」

「ううん、先生してくれるって」

「何でそんなテンション低いの?誰にお願いしたの」

「瀬南くん、厳しそう怖い」

「あー、噂の瀬南くんね!良かったじゃん、テスト明けすぐ会えて!」

みずきちには瀬南くんとのやりとりは殆ど話してる。私がよく口にするのと、ますみんの幼馴染である瀬南くんのことは違うクラスだけど覚えたみたい。


「良かったけど良くないよ~、めちゃくちゃ怖い目してた」

「自分でお願いしたんでしょ?しっかり教え込んでもらいな?」




その日の放課後、約束通り瀬南くんはE組にやってきてくれた。

「来てくれてありがとう」

「ん」

前の席の椅子をくるりと反転させて、机を挟んで私と向き合うように座った。


「まずは見せて」

「何を?」

「テストの結果に決まってるでしょ」

「あ、はい!」

テストを瀬南くんに渡すと彼は5枚の用紙に視線を巡らせる。

「ふーん…あんなに懇願してきたから、全教科悲惨なことになってると思ってたけど、そうでもないね」

「悲惨なこと…」

「うん、数Ⅰと現文と古典は平均点以上だし、頑張ったんじゃない」


瀬南くんはキツイことを言うだけじゃなく、ちゃんと出来てるものに対してきちんと評価してくれる。だから多少キツイこと言われても、ただ凹むだけじゃなくてこの言葉には瀬南くんなりの意味があるはずって思えるんだよね。


「まぁ数Aと英語は壊滅的だけど」

「おっしゃる通りです」

「まぁでも全教科教えるつもりだったから、どうやって叩き込んでやろうかと思ってたけど、2教科だけならしっかりと教えてあげられそう」


瀬南くん、教えてくれるんだ!と嬉しそうな顔をする五十嵐


「僕は厳しいからね?覚悟して」

「うん!」

こうして瀬南による五十嵐の学力強化 が始まった。



「A∪BとA∩Bの違いは分かる?」

「A∪Bが共通部分でA∩Bが和集合だっけ?」

「逆。’∪’はカップ、’∩’はキャップって覚えて」

「カップ?キャップ?」

首を傾げる私に’厳しいからね’と言っていた瀬南くんは思っていたよりも丁寧に説明してくれた。

「カップは英語で何て書く?」

「Cup?」

「そう、’U’使ってるでしょ?」

「使ってるね」

「はい、想像して。カップにコーヒー注いでその後にミルク入れる」

「注いで、入れる」

「カップはコーヒーもミルクも全部受け止めてくれたでしょ?」

「うん」

「だからAカップBは全ての要素が入ってる和集合って覚える」

「え、すごーい!分かりやすい!」

瀬南は五十嵐の頭の構造を理解しているのか、彼女への教え方が上手かった。


「じゃあ、’∩’キャップは?」

「キャップは英語で何て書く?」

「Cap?」

「そう、ちょっと無理あるけどAが’∩’だと思って」

「うん、似てるからそう思える!」

「似てはないけど…まぁいいや。キャップは被るもの、いい?」

「うん!」

五十嵐も瀬南相手だからか変に気遣わずに勉強に励めるようだった。

「君が理解しやすいと思うから、今から言うものイメージして?」

「分かった!」

「赤絵の具を溶いた水滴と青絵の具を溶いた水滴が隣り合って紙に落ちるところ」

「うん」

「水滴は滲んで、この後どうなると思う? 」

「水滴が混ざって紫になる」

「赤と青が被さることによって紫の部分が出来た。被せるものは?」

「’∩’Cap!」

「そうそう、2つの集合が重なった部分は’∩’共通部分ってわけ」

「なるほどー!!!」

五十嵐も進学校に進むだけはあって、そこまでお馬鹿さんではないみたいで、こんな調子で瀬南が教えたことをすんなりとモノにしていった。



「めちゃくちゃ分かりやすかった!」

「思ってたより物覚えは悪くないみたいだね」

「ありがとう!数学A何とかなりそう!」

「お礼言うのはまだ早いんじゃない。明日は英語教えるから、今日は帰ったら数A復習するんだよ?」

「分かった!」

2日後に控えた再試験の為に勉強をすると部活の先輩には伝えた。 他の部員も再試験があるのか正式に部活動開始になるのは3日後からだと聞いた。

「瀬南くん、放課後に時間作ってくれてありがとう!」

「どういたしまして。こんな時間だし、今日は帰る?」

「うん、帰る」

「じゃあ駅まで送ってってあげる」


スクールバックを持って席を立つ彼を見上げると’早くしなよ’と柔らかい表情を浮かべてくれた。

微糖な貴方に惹かれる私

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