テラーノベル
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アンナは覚悟を決めたように大きく息を吸い込むと、真っ直ぐに私を見つめた。
――10年前のことですよ! 街で泥だらけで倒れていた8歳の女の子。それが、院長先生に連れられて孤児院にやってきたソフィアお嬢様でした。
(うわあ、お人形さんみたいに綺麗な子だなあ!)
私が何度話しかけても、最初は一言も返してくれないんですから! でも、少しずつ、少しずつ心を開いてくれた。なのに……ある日、公爵家の軍隊が門を蹴破ったんです。
「聖国の生き残りはどこだ! 『緑の瞳に銀髪』のガキを引きずり出せ!」
泣き叫ぶ子どもたちに向けられる、剣先。その時です。私たちの前に、立ちはだかった背中がありました。ソフィアお嬢様でした。
耳のピアスをパッて外したとたん、金髪が、月の光を吸い込んだみたいな綺麗な銀色に変わったんです。
『――探し物は、私でしょう? 連れて行きなさい。その代わり、この子たちには指一本触れさせないわ!』
そして兵士たちに連れて行かれちゃったんです。
「……お嬢様が公爵家に連れて行かれたあと、数年ぶりに再会した時、私を専属の侍女にしてくださったじゃないですか……っ!」
「世間は『贅沢好きの悪女』だなんて言ってますけど、失礼しちゃいます! 高いドレスや宝石をこっそり私に預けて、『換金して孤児院に送りなさい』って命じたじゃないですか! 全部……あの孤児院を助けるために!」
アンナは、私の手をギュッと握りしめ、その指先にさらに力をこめた。
「だから、お嬢様が誰であれ、関係ありません! あの日私たちを助けてくれた、世界一かっこいいお嬢様なんですからっ! どこまでだって、ついていっちゃいますよぉ!」
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