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翠玲
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翌朝。
🦈「……。」
こさめは制服のネクタイを結びながら、鏡の前で固まっていた。
昨日の出来事が、何度思い返しても現実味がない。
「もっと知りたい。」
そう言ったのは、自分だった。
勢いで口にしてしまったような気もする。
でも、不思議と後悔はしていなかった。
みことの話を聞いて、自分のことを誰かがずっと見ていてくれたと知って。
胸が少しだけ温かくなったから。
🦈「……よし。」
小さく頬を叩き、家を出る。
「おはよ!」
「おはよう!」
通学路には、いつもと変わらない朝の景色が広がっていた。
けれど。
🦈「……あ。」
学校の正門が見えた瞬間、こさめは立ち止まる。
正門の横。
朝日を背に、一人の男子生徒が立っていた。
制服をきっちりと着こなし、肩には生徒会の腕章。
🦈「みこちゃん……?」
その声に気付いたみことが振り向く。
👑「おはよう、こさめちゃん。」
穏やかな笑顔。
昨日、生徒会室で見たままの優しい表情だった。
🦈「えっ、えっ!?」
こさめは慌てて周りを見回す。
🦈「ど、どうしたの!?」
👑「迎えに来た。」
🦈「迎え!?」
👑「恋人契約中だから。」
あまりにも自然に言われ、こさめは固まる。
🦈「え、でも……。」
👑「迷惑だった?」
🦈「ち、違う!」
ぶんぶんと首を振る。
🦈「そうじゃなくて……。」
🦈「その……。」
周りを見る。
登校してくる生徒たちが、次々にこちらへ視線を向けていた。
「あれ、会長!」
「こさめ待ってたの!?」
「朝から!?」
「え、毎日?」
🦈「うぅ……。」
こさめは恥ずかしさで顔が真っ赤になる。
その様子を見て、みことは少しだけ困ったように笑った。
👑「ごめん。」
👑「こんなに注目されるとは思わなかった。」
🦈「絶対なるよぉ……。」
こさめは小さく肩を落とした。
👑「じゃあ。」
みことは一歩近づく。
👑「これからは校門じゃなくて、少し離れた場所で待つね。」
🦈「え?」
👑「こさめちゃんが嫌な思いをしないように。」
昨日と同じだった。
みことは、自分の都合ではなく、いつもこさめを優先して考えてくれる。
🦈「……ありがとう。」
こさめがそう言うと、みことは安心したように笑った。
👑「行こうか。」
🦈「うん。」
二人は並んで歩き始める。
その様子を見た生徒たちは、朝から大騒ぎだった。
「本当に付き合ってるみたい!」
「いや、契約だけど!」
「でも会長、優しすぎない!?」
「羨ましい……。」
そんな声があちこちから聞こえてくる。
こさめは恥ずかしくて仕方がない。
🦈「みこちゃん……。」
👑「ん?」
🦈「すごい見られてる……。」
👑「そうだね。」
🦈「みこちゃんは平気なの?」
👑「平気。」
みことはあっさり答えた。
👑「見られることには慣れてるから。」
🦈「そっか……。」
生徒会長。
元々学校一のポイント保持者。
もともと注目される立場なのだ。
👑「でも。」
みことは少しだけ笑う。
👑「こさめちゃんが嫌なら、できるだけ目立たないようにする。」
🦈「そこまでしなくても……。」
👑「いや。」
みことは首を横に振る。
👑「恋人契約だからって、こさめちゃんが我慢する必要はない。」
その時。
🍍「こさめーー!」
元気な声が廊下に響いた。
振り向くと、なつが大きく手を振りながら走ってくる。
🍍「おはよ!」
🦈「なつくん!」
🍍「朝から会長と一緒なんだ。」
🦈「う、うん……。」
🍍「へぇー。」
なつはにやっと笑う。
🍍「意外とお似合いじゃん。」
🦈「なつくん……!」
こさめの顔が一気に赤くなる。
🦈「もぉぉ!」
🍍「ごめんごめん。」
笑いながら肩を叩く。
その後ろから、らんもゆっくり歩いてきた。
🌸「おはよう、こさめ。」
🦈「おはよう、らんくん。」
らんはみことへ軽く頭を下げる。
🌸「おはようございます。」
👑「おはよう。」
みことも笑顔で返した。
その時だった。
📢「おーい! なつー!」
廊下の向こうから、聞き覚えのある声が響く。
三年生の制服を着たいるまが、手を振りながら歩いてくる。
📢「なつ!」
🍍「いるま。」
なつが嬉しそうに笑う。
🍍「おはよう!」
📢「おはよ!」
二人は自然に隣へ並ぶ。
🍍「今日も放課後、一緒に帰れる?」
📢「もちろん。」
🍍「やった!」
嬉しそうに笑うなつを見て、いるまも思わず笑ってしまう。
🌸「ほんと分かりやすい。」
🍍「だって嬉しいし。」
そのやり取りを見ていたこさめは、小さく笑った。
🦈「仲良しだね。」
🍍「うん。」
なつは照れくさそうに頭をかく。
みこともどこか安心したような表情を浮かべる。
こさめが自然に笑っている。
昨日まで、不安そうな表情ばかりだったこさめが。
それだけで、みことの胸は少しだけ軽くなった。
👑(……よかった。)
その小さな願いとは裏腹に。
廊下の少し離れた場所から、二人をじっと見つめる視線があった。
?「ほんっと……面白くない。」
誰にも聞こえないほど小さな声。
恋愛オークション史上最高額の落札。
それを快く思わない生徒も、少しずつ動き始めていた。