テラーノベル
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空が少しずつ明るくなる。
この時間が、一番嫌い。
全部が終わって、
全部が現実になる。
「もうすぐ朝だね」
わざと軽く言ったのに、
心の奥は、少しだけざわついてた。
本当は、決めてた。
朝が来たら、消えるって。
いつも通り、何も残さないで終わるって。
なのに——
「行かせない」
その一言で、全部崩れた。
強引じゃないくせに、
逃げ道だけちゃんと塞いでくる。
……ほんと、ずるい。
「……ずるいな」
そう言った声が、少し震えてたのは、
たぶん気づかれてる。
逃げようと思えば、逃げられた。
今までみたいに、
するりと消えることだってできた。
でも、しなかった。
できなかった、じゃない。
——しなかった。
朝の光が、全部を照らす。
それでも、まだここにいる。
捕まったのかもしれない。
それとも——
自分から、捕まりにいったのかもしれない。
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