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⚠️この作品には以下の表現が含まれます。
・同性愛(BL)描写
・自殺・自殺未遂の描写
・殺人(衝動的な暴力含む)
・一部、精神的に不安定な描写
苦手な方は閲覧をお控えください。
心理的負荷を感じる可能性がありますので、苦手な方はご注意ください。
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教室の窓から、冷たい風が吹き込む。俺は蒼の背中を見つめていた。彼は今日もいつも通り、彼女の隣で笑っている。
それでも俺の胸は締めつけられた。
「蒼……」
声に出さずに、ただ名前を呼ぶ。蒼は振り返らない。
俺は知っていた。蒼に彼女がいること。誰よりも近くで見てきたから。
だけど、蓮はどうしても、好きなままの君でいてほしかった。
が彼女と笑っていた。
教室の隅、昼休みの柔らかな光の中で、無邪気に、心から楽しそうに。
……俺の知らない顔だった。
そんな笑い方、俺の前では一度もしたことがない。
いつもどこか曇った瞳で、どこか怯えたように俺を見ていたくせに。
それが心地よかった。壊れそうな蒼を、俺だけが知っていると思っていた。
けれど今、彼女の前で見せるその笑顔が——俺の中の何かを焼いた。
俺の前では笑わないくせに。
そんな顔、俺に見せてくれなかったくせに。
俺は蒼が憎かった。
彼女と笑う蒼が、憎くてたまらなかった。
ーーーーーーーーーー
手を伸ばしかけたが、やめた。
彼の背中に触れたくて、名前を呼びたくて、でもそんな権利なんて、俺にはない気がして。
ほんのわずか、指先が空を切る。
けれど蒼が振り返らない、俺はその手をすっと引っ込めた。
届くはずがない。
もう俺の場所じゃない。
隣で笑う彼女の存在が、それを痛いほど突きつけてくる。
何も知らないままの蒼の後ろ姿が、やけに遠く感じた。
——ああ、どうしてあのとき、もっと早く手を伸ばさなかったんだろう。
——もう俺の前では笑わないのか?
——もう俺を、好きになることなんて、ないのか?
教室の窓際、蒼はいつものように彼女の隣に座っていた。
笑っていた。俺の知らない顔で。
胸の奥がざわつく。痛い。
いやな予感がした。
このままじゃ、きっと後悔する。
——何を?
わからない。でも、嫌な気がした。
だから俺は、何の前触れもなく蒼の腕を掴んだ。
「え……蓮……?」
蒼の目が一瞬怯える。それでも俺は躊躇わなかった。
力任せに引き寄せて、彼女の前に立つ。
言葉なんて選ばなかった。
ただ本能で吐き出した。
「こいつ、借りてくわ」
彼女が何かを言いかけた。けど聞く耳は持たなかった。
俺の腕の中にいる蒼が、息を詰めているのがわかる。
震える肩。焦る目。それでも、俺を拒まなかった。いや、拒めないんだろう。
誰もいない夕暮れの空き教室に連れ込む。
窓から差し込む茜色の光が、埃を照らしてゆらめいていた。
「ど…どうした..の、?」
蒼の声はかすれていた。戸惑いと怯えが混ざっている。
けれど、俺は答えなかった。
ただ黙ってドアを閉め、鍵をかけた。
「な…に、蓮..くん..」
——ああ、やっぱり、お前は俺を怖がってる。
だけどそれが、どうしようもなく愛おしかった。
壊してしまいたい。
そうすればもう、誰にも取られない。
俺は何も言わず、一歩、また一歩と蒼に近づいた。
蒼は机に背を押しつけ、逃げ道を探すように首をすくめる。
けれど俺は、もう止まれなかった。
その頬に、手が振りぬかれたのは、一瞬のことだった。
乾いた音が教室に響く。
「っ……!」
蒼の身体が揺れ、 崩れ落ちた。
床に膝をつき、両手で顔を覆ったまま、うずくまるように。
その姿を見て、胸がぎりぎりと痛んだ。
痛いくせに、なのに手が止まらなかった。
「……そんなふうにされなきゃ、俺を見ないのかよ」
言葉より先に、足が出た。
制服越しの背中に、ぐしゃりと音が響く。
蒼の体が小さく跳ねる。痛みで縮こまる姿が、憐れで、そして美しかった。
「お前さ、笑ってたよな……あの女の前で」
「っ……うあ……っ」
「なのに俺には……泣いてんの、それだけかよ……?」
拳を握る。
気づけば、もう感情なんて選べなくなってた。
肩を、背中を、無言で殴る。
やめろ、って言われてもやめられない。
怖がる目が見たかった。俺を拒絶しながらも、俺だけを見るその顔が——
たまらなく欲しかった。
「取られたくねぇんだよ……お前だけは」
唇が、勝手にそう呟く。
蒼は顔を上げようとしなかった。
血と涙で濡れたその手を、ぎゅっと握りしめて、ただ耐えていた。
その姿が、たまらなく愛しかった。
壊してもいい、と思った。
壊して、手元に閉じ込められるなら。
「……蓮、やめ……っ」
その言葉すら奪うように、唇を塞ぐ。
荒くて、優しさなんて一滴もないキス。
噛みつくように、ねじ伏せるように、蓮は透の身体を壁に押しつけた。
「怖いか?」
「……っ、……やめろ……」
「うるさい、蒼、黙れ。」
「……っ」
シャツのボタンを無理やり引きちぎる音が響く。
抗う腕を強引に押さえつけ、肌に指を這わせながら、蓮は囁いた。
「俺以外に、そんな顔見せんな。お前は……俺だけのもんだろ?」
蒼は、もはや返す言葉もなかった。
涙がこぼれ、震える身体が、無理やり開かれていく。
心も、身体も、すべてを奪われていくように
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第2話はすぐ書きます、忘れそーなので。