学校に着くなり、僕は真っ先に寺坂くんの下駄箱を確認した。どうやらまだ来ていないようだ。
「はやくあいたいのにな…」
そういえば、連絡先も交換してない。クラスLINEから追加するにも勇気がいる。昨日の僕、冷静に超キモくなかったか?もう関わりたくないとか思われてたら…そんなやつがLINE追加したら…と思うと、スマホを操作する指が止まり、膝がガクガクと笑い出した。
「やっぱ会いたくないかも…」
二限目が終わっても寺坂くんは来なかった。彼なりに僕に対する気遣いが何かだろうか。授業中にギリギリ視界に入る寺坂くんを見つめるのが好きなのに。おかげで今日は別の理由で授業に集中できなかった。その時、僕の太ももに振動が走った。スマホの通知かな、と思いこっそりとそれを取り出す。
『ごめん、勝手に追加した!
今から校舎裏来れそう?』
『from 寺坂琉真』
まさかの向こうから追加⁉︎しかも呼び出しだなんて、待っていられない。今すぐに向かわないと。
運動が大の苦手な僕は、100メートルも走らないうちに息が切れて横腹が痛み出した。
「普段の罰がこんな時に下った…。」
今にも這いずるのではないかと思うくらいの体制で校舎裏に着いた。
「おはよ。」
そこに彼は居た。少しぶっきらぼうな言い方に聞こえた。
「昨日…というか、俺らの関係のことなんだけどさ…。」
なんとなく、察した。彼が言いたいであろうことも、その後の僕の答えも。
「俺やっぱり彼女のこと裏切れなくて…。」
「やだ。」
間髪入れずに答えてしまった。
「⁉︎」
何を言ってるんだ、僕⁉︎寺坂くんの気持ちを尊重したいのに、口先だけが生意気に動いてしまう。これが恋というものなのか?
あ、違うこれは…
「琉真」
恋とかじゃなくて…
「本当はもっと好きにしてほしいんでしょ?」
独占欲ってやつなのか?
コメント
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独占欲ぅ?! ふっ…ッ⤴ 続きがたのしみだぁぁぁあ!✨