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棘と棗は兄妹じゃない_____
そう親から言われたのはお兄ちゃんである
棘と別れて3日経った時だった。
「貴方は私達の子じゃない」
そう言われ今までの私への接し方の
謎が分かった。
両親はお兄ちゃんばっか贔屓していた。
兄は特別待遇。
好きな物を食べたり、洋服を自由に買える。
だけど私は、
兄が苦手なものを食べたり、
洋服は兄のお下がり。男物だ。
ま、どうでもよかったんだけど。
[じゃあなんで私なんか家族にしたんだ。]
そう打って見せた。
私は両親に思考が読み取れることを話してない
だからクソ両親の思考がたまーに流れてくる。
それはそれは大変。
母さんは
〘棘は私達の子だから
優しい子に育って欲しいわね〙
とか
〘なんで棘はこの子に優しくするのかしら。〙
おーおー。酷いなぁ。
父さんは
〘なんでコイツと飯食べなきゃいけないんだ〙
とか
〘呪霊に殺されでもすればいいのに〙
とか。
言い過ぎじゃん。そんな言う??
お兄ちゃんには言ってなかったみたいで
不思議な顔して私の事見てた
お兄ちゃんは自分が特別待遇だということも、
ボロボロになった自分の洋服が
私へ来ていることも知らない。
だからこの前、
「しゃけ!!高菜!!」
(僕と同じ洋服!!可愛いね!!)
と言っていた。
その時心の声も一緒に聞こえた
〘ちょっとダボッとしてる…!!
サイズ間違えちゃったのかな…〙
お兄ちゃんの優しさに
何度涙が出そうになったか
両親のせいで表情筋が死んだ
両親に感情を消されたと言っても過言じゃない
お兄ちゃんのお陰で自我を失わずに済んだ
お兄ちゃんがいてくれたから
私は私で居られた。
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棘「高菜…?」
喋らない私を心配するお兄ちゃん
『だっ…』
言葉を使いそうになり、口を塞ぐ
[大丈夫です。]
お願いだから気づかないで。
お兄ちゃんと出会ったなんて
両親に知られたら今度こそ殺されてしまう
棘「おかか…?」
“何か探してるの?”と
問いかけてくるお兄ちゃん
(過保護だなぁ…)
それじゃあと、
[自動販売機ってどこにありますか??]
スマホに打ち込んだ文字を見せると
棘「ツナツナ!!」
と手を差し出してきた。
(手、出せってことかな…?)
手を出すとふわっと握ってくれる
やめて欲しい。勘違いしてしまうから
(もし、
家族じゃなくて普通に出会えていたら)
なんて。
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棘「昆布〜」
[ありがとうございます]
にこにこして待ってるお兄ちゃん。
…ん?戻らないの?
[戻らないのですか?]
見せると焦り始めるお兄ちゃん
棘「お、おかかっ!!すじこ!!」
“し、心配だから!!”と
顔を少し赤くするお兄ちゃん
お金を入れ、ボタンを押そうとした。
けど
『ふん…っ』
なんとボタンが届かない…!!
するとくすっと笑う声が聞こえた。
え??喧嘩売ってる??買うぞ??
お兄ちゃんを見ると
背を向けて肩を震わせて笑ってた
(お兄ちゃんだったのか)
なら許す←
棘「高菜?」
これ?と私の欲しいいちごミルクを指さす
『コクコクッ』
棘「しゃーけ!」
出てきたいちごミルクを
私に差し出してきたお兄ちゃん
『薔薇ぁ!!』
…あ。やってしまった…!!
棘「な、つ、め、?」
逃げなきゃ。
私はその場から逃げ出した
゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+
〜棘side〜
眠れなくて飲み物を買いに行こうとした。
道端でオドオドしてる少女を見かけた。
「はぁ…」
あれ?なんか落とした。
…ウサギのぬいぐるみ。
昔、棗と一緒に作ったぬいぐるみに
よく似ていた。
…まさか、いるわけないよね、
声をかけたけど無視された。
あれ、聞こえてない?
やっとこっちを見た少女は少し驚いていた。
『ツナツナ!!』
落し物!!と言って
拾ったぬいぐるみを渡す
急に思い詰めた顔をした少女。
つんつんしても無反応。
『高菜…?』
するとハッとしてこっちを見る少女。
(棗に似てる)
不意にそう思ってしまった。
…会いたいなぁ。
「だっ…」
口を塞ぐ少女
どうしたんだろ…
するとスマホに文字を打ち始める少女。
そして…
[大丈夫です]
そっか。良かった。
(なんで喋らないんだろ…)
自分と同じ呪言師かもしれないと
淡い期待を持つ
『おかか…?』
さっきキョロキョロしてたから
何か探しているのか聞く
すると少女は
[自動販売機ってどこにありますか?]
文字を見せてきた
僕はその少女に不信感を覚えた。
何故、僕の言葉が分かるのか、
何故、言葉が喋れないのか、
『ツナツナ!!』
その不信感を隠して自動販売機の前に
連れていくことにした。
最近不審者出るって言うし、
手、繋いだ方がいいかな…?
手を差し出すとぎゅっと握ってくれる
わ…白い…すべすべ…いい匂いする…
って僕変態みたいじゃん!!
▶▼◀▲▶▼◀▲▶▼◀▲▶▼◀▲▶▼◀
案内すると
[ありがとうございます]
と文字を見せ少し微笑む少女。
(ちょっと待って…その笑顔はやばい…)
僕がフリーズしてるとつんつんしてくる
[戻らないのですか?]
えっ!?僕ずっと見てた!?
恥ずかしぃ…///
『お、おかか!!すじこ!!』
心配だからと手を左右に振る
僕、今顔赤いかな…
少女は不思議な顔をしたまま
自動販売機にお金を入れた。
までは良かった。
「ふんっ…!!」
少女は頑張って手を伸ばしてる
(かわいいっ…w)
あまりにも可愛くて笑ってしまった
チラッと少女を見ると膨れて怒ってた
しょうがないなぁ…w
『高菜?』
これ?といちごミルクを指す
すると少女は首を縦にぶんぶん振る
(可愛い〜w)
『しゃーけ!!』ポチッ
はい!と出てきたいちごミルクを
差し出すと
「薔薇ぁ!!」
…え、
『な、つ、め、』
俺は分かってしまった。
何故言葉が喋れないのか、
何故僕の言葉が分かるのか、
________僕の妹だからだ。
゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+
『はぁっ…はぁっ…はぁっ…』
棘「おかかっ!!!」
待って早くね?
悟「おかえり〜何してるの?追いかけっこ?」
いや見てわかんだろ。
『桔梗!!サクラ!!』
悟「わかんないんだって〜」
チッ…あーもう!!!
跳ぶか。だるいし。
トンッ
やべ追いかけてくる。
『”動くな”』
ごめんねお兄ちゃん。
棘「棗ッ!!!」
『さよなら。』
〘行かないで…!!〙
そんなお兄ちゃんの声が聞こえた。
でも振り返らない。
私の我儘。許して。
_____貴方を傷つけたくないの。
゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+
〜棘side〜
やっと見つけた。
大好きな妹。
誰にでも優しくて世話好きで、
_______僕の初恋の人。
妹に恋するなんておかしな話だけど。
今までどこ行ってたの。
ずっと探してたんだよ。
そう伝えたい。でも出来ない。
君を呪ってしまうから。
棗「”動くな”」
初めて棗が僕に呪言をかけた。
ねぇ、棗。
僕さ、棗のこと探してた。
次会えたら好きだって言おうって思って、
告白しようと思ってたんだよ
なのに、なのにさ、
棗「さよなら」
なのになんでそんな悲しそうな顔するの。
僕は分かってるよ。
棗は、人の思考が読み取れるってこと。
僕は知ってる。
ねぇ、棗。
________君は一体、何を隠しているの?