何も聞きたくなかった。
“お兄ちゃんに呪言をかけた”
その事実が嫌で嫌で仕方なかった
『ごめん、なさい…』
『うぁ、うっ、』
…来た。クソ両親
毎日こうして家に凸ってくる。
はっきり言って迷惑。
「棗!!来てやったんだから開けなさい!!」
来て欲しいって言ってないし
「おい!!
上がらせねぇとか社会不適合者だろ!!」
家族じゃない奴を上がらせたくないし
心の中で愚痴を言う
(うるさいうるさいうるさい…!!!)
(もうこれ以上私から何も奪うな…!!!)
五月蝿い。
もうそろそろ黙らそうかと
玄関へ向かおうとした。
「呪言なんて使わなくても
もっと良い方法あるんじゃない?」
そんな声がした。
『…五条悟。』
悟「やぁ。名前覚えていてくれて嬉しいよ」
『…』
悟「それにしても大変だねぇ」
『…』
悟「ねぇ助けて欲しい?」
五月蝿い…のに、
『た、す、けて…』
お兄ちゃん。もう嫌だ。
独りは嫌だよ…
とさっ
悟「オニーサンに任せて〜」
私は意識を手放した
▶▼◀▲▶▼◀▲▶▼◀▲▶▼◀▲▶▼◀▲▶
『…!!はっ…はぁっ…』
悟「びっくりしたぁ〜
いきなり起きないでよ〜」
『薔薇、?』
悟「んー?あの両親?帰ったよ」
帰ったんだ。アイツら
『…』
悟「ま、
棗が両親にされたことは大体分かるからね」
悟「いいものあげるよ。」
するとポイッと薬?が入った瓶を投げてきた
(何これ。)
悟「君の両親が隠し持ってたものだよ
それを服用してる間は呪言が効かなくなる」
え、ていうことは、
悟「普通に喋れるってこと。」
『…ブンブン』
悟「あれ?いらない?」
『コクコク』
これじゃあ言葉が喋れない
お兄ちゃんに平等じゃない。
悟「じゃあ1回飲んで僕とお話しよう?」
…1回だけなら、いいよね
ごくん
『お、兄ちゃん…』
悟「どお?」
『喋れる』
悟(かわいい。)
悟「なんで君は棘から逃げたの?」
『…話す義理はないです。』
悟「えーでも僕は明日から君の先生だよ?」
『…両親から言われてるんです。』
『お前は”悪なる存在”だから棘に近寄るな』
って
悟「悪なる存在…ねぇ」
『私は生まれつき人の心が読めるんです。
嫌でも人の心が読めてしまうから、
そんな自分が嫌いでした。』
『気持ち悪くて、気持ち悪くて、
でもお兄ちゃんはそんな私を
支え続けてくれました。』
『だからこそ、
私はお兄ちゃんを、棘を
これ以上、汚したくない。
傷つけたくないんです。』
悟「ふーん…」
『頼みがあるんです。』
悟「いいよ!!何でも言って〜!」
『名前、容姿、階級を偽りたいんです』
悟「うーん…難しいなぁ…でもまぁいいよ!!」
『ありがとうございます。』
悟「名前はどうする?」
名前、かぁ
悟「無いならイヴとかどう?」
『イブ?』
悟「ブじゃない!!ヴ!!」
『なんでイヴなんですか?』
悟「アダムとイブって知ってる?」
そんなの馬鹿でもチョンでも知ってる
『人間の罪が始まったと
言われている人達ですよね』
悟「そう!!本当はイブなんだけど
ちょっといじってイヴね!!」
悟「イヴは棗、アダムは棘。どう??」
…この人ホントに何言ってんの
『髪、染めて欲しいんです。黒に』
悟「いいの?」
『はい。元々白じゃなかったですし』
両親が気味悪がって白に、
お兄ちゃんと似た色に染めた。
しゅー
悟「そのまま待機ね〜」
悟「ねぇねぇ。僕お腹空いた。」
『だからなんですか』
悟「ねぇこのオムライス食べていい?」
勝手に冷蔵庫覗いてる。
病院いかせたろか???
『どうぞ』
悟「やったー」
『…はぁ、』
今日もため息ひとつ
゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+
〜悟side〜
棘に言われて見に来た
棘も連れていこうかと思ったけど
全力拒否された
さーて。家に向かったはいいものの、
狗巻家の人間が何やってんの。
瞬間移動で中に入る。
当の本人は耳を塞ぎ、うずくまってた。
しばらくして立ち上がった棗の瞳に
違和感を覚えた
んー…やっぱり”何か”憑いてるねぇ
呪霊か、それとも、
(特級呪霊か)
声をかけると元の瞳に戻った
棗「…五条悟。」
『名前覚えててくれたんだ〜』
しばらく無言を貫く彼女。
『ねぇ助けて欲しい?』
そう聞くと
か細く、震えた声で助けを求めた。
ま、助ける為に来たからね
すると途端に意識を飛ばす棗。
耐えてきたんだよな。偉い。
さーて。行くか。
僕は玄関へ向かった
僕が出てきて驚く狗巻両親
『久しぶりですね。』
父「誰だお前ッ…!!」
『酷いなぁ会ったことあるのに』
棘が高専に来る前、1回だけ
話をしに行ったことがある
ていうかこんな人だったっけ?
やっぱ人間の表裏って怖いねぇ
『ねぇ聞きたいことがあるんだけどさ
この前家にお邪魔した時、棗の姿が
なかったんだけどさ
まさかDVとかしてないよね?』
母「そ、
そんなことしてる訳ないじゃない!!」
『へぇ。じゃあ本人に聞いてみていい?』
父「勝手にしろ」
(アイツは躾てるから言うはずない)
『あ。バレないと思ってる?無駄だよ』
『僕に消されたくなかったら
今すぐ目の前から消えろ。
そしてもう棗には近づくな』
僕はいつも間にか殺気を放ってたらしく
狗巻両親は震えて逃げていった
さて、部屋戻るか。
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『魘されてる』
悪い夢見てるのだろうか。苦しそう。
助けてあげたい。そう思った
(ていうか相変わらず綺麗な顔だな…)
なんなら棘より綺麗じゃない?(失礼)
棗「…はぁっ…はぁ…」
びっくりしたー。
その後、色々話をして
今は黒染めが馴染むまで待ってまーす
冷蔵庫を(無許可で)漁ってると
美味しそうなオムライスが出てきた。
(え、うまそう…)
『ねぇこのオムライス食べていい?』
棗「どうぞ」
『やったー』
ため息つかれたけど気にしない!!
ぱくっ
え、うっっっっま…五ツ星シェフいけるって
何加えたらこんな上手くなるの!?
『棗。』
棗「どうされました。」
『結婚しようか』
棗「気持ち悪」
えー辛辣ー。
ていうか棘にチクられたら僕終わるんだけど
まぁいっか。
おいしいし。
゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+゚+o。◈。o+
『美味しいですか?』
すごい幸せそうに食べてるから聞いてみた
悟「超美味いよ」
『そうですか』
悟「あれ?無反応??」
『表情筋が死んでるだけなので
安心してください』
悟(だからさっきまでずーっと無表情なのか)
悟「ありがと!!!美味しかった〜」
『それは良かったです。』
もう乾いたかな。という所で声をかけてきた
悟「それじゃあ取るよ〜」
『はい。』
バサッ
『どーですか?』
悟「・・・」
『…五条悟。』
悟「あぁ!!ごめんね!!綺麗だよ!!」
『少し、寂しいですね』
悟「大丈夫。棘はいずれ気づくさ」
『…今、なんて言いました?』
悟「なんでもないよ。さて、
僕はもう行こうかな。」
『ありがとうございます。』
悟「また迎えに来るよ。」
五条悟が帰ったところで薬の効果は切れた
ごめんねお兄ちゃん。
私は明日から狗巻棗じゃない。
___天海イヴとしてお兄ちゃんの近くにいる。
悟(見惚れてたなんて
口が裂けても言えねぇ…)
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