リエーフは俺と目が合うと、俺の耳元に近づき囁いた。
「日向ってさ、〝前″の記憶あるよね?
俺も実は〝前″の記憶あるんだよね。だからさ、後で校舎裏で」
・・・!
なんでリエーフも記憶持ってるんだ。俺だけだったのに。リエーフとは特に関わりも持ってなかったはずだし合宿でしか会ったことないのに、なんでなんだろう。
校舎裏……だめだ。思い出すな。余計なことを考えるな。今は今、前は前。お母さんを思い出せ。心を燃やせ。
いや燃やしたらだめだ。てかなんで今こんなこと考えてるんだろう。
───────
あっ、そうこうしてるうちに部活紹介全部終わっちゃった。
校舎裏にて
俺はリエーフに手を取られながら強制的に連れ去られてしまった。
リエーフ「で、さっき言ったことなんだけど確認したいことがある」
日向「…なに?」
リエーフ「日向は稲荷崎高校に通ってて、夏休み前に自殺したことはあってる?」
日向「うん。それは間違いない。気づいたら音駒高校に行くことになってた感じ」
日向「俺も一つ聞きたいことあるんだけど」
リエーフ「なに?なんでも答えるよ!」
日向「リエーフってさリスカしてるよね?」
俺がそういうとリエーフは顔を一瞬だけ顰めたあとすぐに作り笑顔を浮かべた。
リエーフ「ツ…日向ってば、なに言ってんの〜wwもしかしてまだ混乱してるとか?てか俺はそんなことしてないよ!」
日向「いや、俺は本気で言ってる。ほら……俺もやってるからわかるんだよ。」
俺はリエーフに自分の隠していた腕を見せた。前よりかは控えめにしているつもりだ。控えめにする代わりにODをしてるけど…
日向「リエーフも俺もお互い抱えてること一回話そ?そしたらお互い楽な関係になれると思う。それに話す相手がいるって結構楽になると思うんだ。」
リエーフ「…グスッ……ヒック……おれ、ずっと…いじめられてて…」
俺がリエーフに話した時、リエーフは黙ったままだった。俺がもう一回リエーフに話しかけようとして顔を覗き込んだときリエーフのエメラルドみたいに綺麗な目から透明な雫が頬を伝っていった。
そのあとはもうリエーフのイジメの話を聞いて俺ももらい泣きして2人でわんわん泣いた。それはもう目が腫れるくらいには。
そんなお互いを見て校舎裏でブッと吹き出してしまった。なんだかすごく青春だなぁと感じた。
前は、こんなことができなかった。
………あぁ、これが幸せっていうのかな。