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#極道
鷹槻れん

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念願の携帯デビューを果たした日、私は修太郎さんの運転するお車で家の近くまで送っていただいた。
修太郎さんはdoconoショップ近くのコインパーキングに、愛車――黒のアルファード――を駐車しておられた。
七人乗りのミニバンだというアルファードは、車内空間がとてもゆったりとしていて、二人で乗るには少し広すぎてソワソワしてしまった。
もしかしたら助手席に乗り込むときにフラリとよろめいて、修太郎さんに抱きとめられたのが影響しているのかもしれない。
もしくはたった今、修太郎さんが私の身体に覆いかぶさるようにして、シートベルトを留めてくださったから気持ちが昂っているだけかも?
助手席からの景色も、シートの位置が割と高いからか、気持ち背が高くなった気分で。
「お、大きなお車ですね……っ」
あたふたと後部シートを振り返りながらそう言うと、「年に数回、弟や妹たちを乗せて遠出などをするんです。そういうのを考えると、このぐらい広さがないと不便なんですよ」と修太郎さん。
いざとなったらみんなで車中泊が出来ること前提でこの車を買われたとのことだった。
「前の車はこれより一回り小さかったんですけど、それだと結構しんどくて」
とおっしゃる彼に、
「修太郎さん、弟さんや妹さんがいらっしゃるんですか?」
と思わずお聞きしてしまった。
修太郎さんは、そういえばお話していませんでしたね、と前置きをなさってから「僕には年の離れた弟と、その弟と数歳違いの妹が二人いまして……。いわゆる四人兄弟妹の長男というやつです」とお話くださった。
修太郎さんに、三人も血の繋がったご弟妹がおられるということに、一人っ子の私はとても驚いてしまった。
それと同時に、「賑やかそうでとてもうらやましいです」と率直な感想を言うと、「まぁ、でも……今は一緒に住んでいないので」と少し声のトーンを落とされる。
「……やはり一人暮らしはお寂しいですか?」
言いながら、私は思わず吸い寄せられるようにセンターコンソールに載せられた修太郎さんの左手に触れてしまった。
途端、驚かれたように、ほんの一瞬修太郎さんが私に視線を流してから瞳を見開かれて――。
「……あ、ご、ごめんなさいっ」
運転中のかたの手に触れるとか……例え使っていないように見えるからって非常識だったよね。
そ、それに……。
(私、何て大胆なことをしてしまったのでしょう!)
そう気付いたら、顔がブワッと熱くなった。
(あーん、私、おバカさんなのですっ)
大失態に、恥ずかしくて腿の上で両手をモジモジと揉み合わせていたら、修太郎さんの手が伸びてきて、私の手の甲に触れた。
そうして、そのまま右手をとらえると、恋人つなぎのように指を絡めていらして……。
そのままセンターコンソールの上に引っ張り上げられてしまう。
「――っ!」
驚いて手を引こうとしたら、
「どうかこのまま……」
運転中なので視線は前方に向けられたまま。でも、言葉と一緒に、ギュッと組み合わされた指が握られて……私はそれだけで心臓が壊れそうに高鳴ってしまう。
重ねられた修太郎さんの手の温もりが心地よくて……。どこか気恥ずかしいのにこの上なく幸せで。
「……あのっ、お邪魔じゃ、ないですか?」
それでも一応運転の妨げになっていやしないかと心配すると、「問題ありません。むしろとても落ち着きます」と言われてしまった。
「……それから先程の一人暮らしの話ですが」
少し間を空けて修太郎さんがそう話し始められて……。
「……正直少し前まではたまに味気ないな、と思うこともありました。……ですが――」
私はさっきの質問への答えをくださっているんだとハッとする。
何となく直視するのは恥ずかしくて、私の手をギュッと握ってくださっている修太郎さんの手に視線を落としながら私は彼の言葉に耳を傾けた。
「ですが、今では――先日のように好きな女性が可愛らしく酔っているのを誰にも気兼ねすることなく連れ帰ることが出来るので……一人も悪くないなと思えるようになりました」
そこで私が先の晩のことを思い出してビクッとしたのを見て、クスクスお笑いになる。
コメント
2件
修太郎さん、ごきょうだい、多いのね!?
読了しました🌷 このエピソード、もう本当に甘くてドキドキが止まりませんでした…! 車内という密閉空間で、運転中の修太郎さんと手を繋ぐシーンが特に印象的。運転中だから視線は前を向いたまま、それでも指を絡めて「どうかこのまま」って言われるの、心臓に悪すぎますよ…! あと「先日のように好きな女性が可愛らしく酔っているのを連れ帰れる」という修太郎さんの言葉、もう完全に主人公のことですよね。あの含みを持たせた言い方が絶妙で、にやけてしまいました。お互いの距離が確実に近づいているのが伝わる、素敵な第33話でした!