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今日は、jpの誕生日。
予定があるのか聞いてみたら特にない、との事だったので誘ってみた。
映画が観たいと言っていたし、せっかくなら良いのを食わせてやりたい。
あとはいつも通りの俺ららしくゲーセンに行って、クリスマスっぽくイルミでも見ようと思う。
予約も、ルート取りも完璧。
ただ、プレゼントだけは本当に選びきれなかった。
今まで漢字ノートとかチュッパチャップスタワーとか送ってきたけど、ネタに走らず本気で、と考えた結果わからなくなった。
こんなに一緒にいるのに、あいつが本当に欲しいものを知らないことに、今更気づいた。
いつもはjpがここに迎えに来てくれるけど、今日はなぜか待ち合わせしようと言われた。
慣れない乗り換えや慣れない道をひとり、スマホを頼りに急ぐ。
予定通り約束の時間より10分早く着いた、のにjpはもうそこにいた。
背の高いあいつはその赤い髪も相まって、遠くからでも良く目立つ。
男の俺から見ても、目鼻立ちの良い端正な顔をしていると思う。
シャープな輪郭と、少し吊り上がったぱっちりとした目にエメラルドグリーンの瞳。
細長い首に尖って見える喉仏は男らしくて羨ましくて、気づけば目を奪われていた。
視線を巡らせながら行き交う人を見るjpは、隠れるようにゆっくりと下を向いた。
jpは時々、こうやって自信なさげな寂しそうな目をする。
大事な夢や仲間ができて、少しずつ世間に認められて来ている俺たちだけど、どうもそれだけじゃ足りないみたいだ。
jpの中には、優しさと明るさで覆い隠された満たされない場所がある。
「本当に欲しいもの」がそれを満たしてくれるのだろうか。
そんな事を考えながら早足で近づく俺に気づいたjpは、八重歯を見せて顔をほころばせた。
「すまん、遅なった」
「ううん、今来たとこだよ」
人懐こい柔らかい口調で答えるjp。
jpが首を振ったのに合わせて、いつもとは違うハーブ系の良い香りが鼻をくすぐった。
ブルゾンに細身のパンツを合わせたコーディネートも良く似合っている。
向き合っているからわかるけど、通りすがりにjpを横目に見たり、振り返る女性もいる程だ。
なんとなくすぐに移動したくなって、プランを遂行していくことにした。
映画はクリスマスらしくない、戦車とか出てくる俺ららしいアクションもの。
二人でめっちゃ満足して、興奮冷めやらぬままロビーで感想を言い合えたのも楽しかった。
ゲーセンでは、jpが欲しがったお菓子やぬいぐるみをたくさん取った。
特Lの袋二つ分を抱えて想像以上におしゃれな雰囲気のレストランに入る。
気まずくて二人して小声で喋ってたのも良い思い出だ。
最後にイルミを見た。
男二人だけど、そんな事も忘れるくらい綺麗だった。
特に、カラフルな人工光を映すjpの瞳が。
ふとjpがこちらを向いたから慌てて目を背けたけど、気づかれただろうか。
…
帰りはjpがシェアハウスまで送ると言ってくれた。
よせばいいのに、プレゼントを用意しきれなかったことを正直に話したら、十分だよってjpは優しい顔で笑ってくれた。
…jpが本当に欲しいもの、何なんやろ。
そういや、好きなひとおるって言っとったな…。
こうして二人で誕生日を過ごせるのも最後かもしれないと思うと、もう少し一緒にいたくなって俺の部屋に誘った。
そのあとのことはあまり思いだしたくない。
たくさん笑ってくれたていたのに、汚されてしまった。
震えた手で俺を庇ったjpの瞳は、さっきまでの輝きを失ったようだった。
…
シェアハウスの脱衣所。
タオルの隙間から見えるjpの曇りきった顔を見ると、益々申し訳ない気持ちになった。
「ごめんなjp。髪、いい匂いだったのに」
「、、気づいてた?」
気づいてたよ。
だって俺はいつも一番近くにおるんやから。
シワのないシャツも、珍しくアイロンかけたんやろ?
せっかくの誕生日なのに、jpが朝からどんな気持ちで身支度をしてきたのかを考えると涙が出そうだった。
「ほんまごめんな、せっかくの誕生日なのにな」
「大丈夫、ttのせいじゃないよ」
「でも俺まじかっこわるかったよね笑」
そうやって目を細めるjp。
なあ、そんな、綺麗に笑いながら自分を卑下せんといて。
お前は俺の憧れなんやから。
「いや、朝からずっとかっこよかったよ」
「今もかっけえよ、俺を守ってくれたんやから」
俺の言葉にjpは少し間を置いて、ありがとう、とまた綺麗に笑った。
かっこいいよお前は。
…本当に
「ttがくれたプレゼント、大事にするね」
「…?なんもあげてへんけど。あ!景品な!あれは全部お前のもんや!」
「笑。ありがと」
お前が本当に欲しいものはきっと、俺にはあげられない。
だけどこれでいいと思う。
jpがそれを手に入れるまで、俺がお前の一番近くにいる。
いつかお前が好きなひとと一緒になれた時は、俺が一番祝福してやる。
な、jp。
俺たち、相棒だもんな。
jpが以前、俺の部屋に置いていったパジャマをタンスから引っ張り出すと脱衣所へ戻った。
扉の向こうでシャワーを浴びるjp。
手に持ったパジャマは、俺と二人で暮らしていたときに使っていたものだ。
そっと撫でるとあの頃が思い出されて、「いつか」が来るのが少しだけ寂しくなった。
…
物音に脱衣所を出ると、寝ていたはずのメンバーが揃って俺の部屋の前に集まっていた。
ケーキや飲み物を抱えて、jpにサプライズをするつもりらしい。
あぁ、俺が信じて着いてきたjpは、こんなにも愛されている。
良かったな、jp。
きっと、欲しがっているものもすぐ手に入る。
部屋に戻ったjpがまた、綺麗に、そして心から笑うのを想像しながら、クラッカーを構えた。
end.
コメント
3件
両片思いっすか!!よきです、、