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荷物はスマホ、財布、ナイフ、必要最低限 のものしか持っていかない。
それしか要らない。
虚しい。
16年生きてきて最後に必要なのはたったの3つの荷物。
「嗤えますね」
本当に嗤える。
家を出て約束の場所に向かう。
約束した橋にはもう彼はいた。
夕日で川が煌煌している。
「行こっか」
行く宛なんてない。
行きたい場所もない。
でも、これだけは分かる。
一歩一歩私達は死に近づいていっている。
しばらく歩いたあといきなり彼は話し出す。
「俺、人を殺したんだ」
いきなり彼から告げられる。
「なにも聞かないの?」
聞いてほしいのか?
「人には事情がありますので」
「君にも何かあるんだろう?」
「……私は自業自得です」
「自分で自分を苦しめて……結果がこれですよ」
自嘲気味に笑う。
本当に莫迦だ。
私は。
「その事について話すつもりは……」
「ありませんね」
「自分の恥をわざわざ人に話しません」
「……そっか」
彼が目を細めて笑う。
「でも俺は話すよ」
「お好きに」