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「殺したのは母親」
「いつも俺を殴ってくるから」
「たまたま近くにナイフがあった」
「殴ってくるから……本当に殺されると思ったんだ」
「だから思わずナイフをとって突き刺したんだ」
「人を……よりによって母親を殺したんだ」
「クラスメイトの視線は冷たいし」
「親戚たちも俺を引き取りたがらない」
「俺は母親にも誰にも愛されなかったんだ」
『愛されなかったんだ』
私にも言えることだった
「ねぇ？」
不意に訪ねてくる
「名前は？」
「……玲花……です」
「玲花……いい名前だね」
「ありがとうございます……」
いい名前と言われたのははじめてだ
そもそも私は自分の名前が嫌いだった。
「貴方の名前は何て言うんですか？」
「琉空って言うんだ」
「短い間だけどよろしくな」
「玲花」
彼に名前を呼ばれると
なぜか心が安らいでいく
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