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(萌)「·····(思い出して)あっ、サッカー部の。えっとー、湊斗くん?」
(湊斗)「うん。久しぶり」
萌、想の顔が浮かんで湊斗を警戒する。
(萌)「·····どうしたの?」
(湊斗)「あー、今、実家帰ってて」
(萌)「うん」
(湊斗)「想いるかなぁ、って、寄ってみたんだけど」
(萌)「いないけど·····」
(湊斗)「あ、うん、だよね。俺あの、連絡先わかんなくなっちゃってさ、想の」
(萌)「え?」
(湊斗)「スマホ死んで、データ飛んで。想いたら聞こうと思って来たんだけど」
(萌)「(少し考えて)·····湊斗くんてさ、」
(湊斗)「うん」
(萌)「知ってるんだっけ?」
(湊斗)「ん?」
(萌)「だから·····あの、お兄ちゃんのさ、ね」
と、察してもらおうとする。
湊斗、何のことかわからないまま、
(湊斗)「あぁ、想のね、うん。知ってる」
萌、少し緊張がとけて、
(萌)「あっ、そうなんだ。なんだ、そっか。仲良かったもんね」
(湊斗)「うん·····」
(萌)「あ、じゃあ番号教えるよ。スマホスマホ」
と、家の奥へ。
湊斗、騙したようで申し訳ないと思いつつ、
(湊斗)「あ·····ありがと」
萌、声を張って、
(萌)「よかったよーお兄ちゃん高校の友達プッツンだったでしょー、卒業してすぐ」
(湊斗)「(愛想笑いで)プッツンされたね」
萌、スマホを操作しながら玄関に戻ってきて、
(萌)「新しい友達なかなか作らないしさぁ、耳聞こえなくなってから」
(湊斗)「·····(え?)」
動揺し、返答できない湊斗。
萌、スマホを見ていて湊斗の様子に気付かない。
(萌)「あ、これか」
と、番号をメモしながら、
(萌)「お兄ちゃんてさぁ、人に甘えられないのが唯一の欠点だよね」
(湊斗)「·····」
紬、試聴機のヘッドホンで音楽を聴いている。
ゆかこ、紬の顔を覗き込んで、
(ゆかこ)「·····つむつむ?」
(紬)「(ゆかこに気付いて)·····あ」
(ゆかこ)「あ、じゃなくて。時給発生してるから」
(紬)「(笑って誤魔化して)すみません」
スピッツの特集コーナー。
紬が聴いていた試聴機、「フェイクファー」の6曲目が再生されている。
想の母・佐倉律子(49)、買い物からの帰り道。
向かいから歩いてくる湊斗。
律子、湊斗とすれ違い、すぐに振り返る。
(律子)「·····(湊斗くん?)」
湊斗、動揺で律子に気付かずに歩いて行く。